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大人の発達障害「勝ち負け思考」の原因と解決法について

「こんな人に怒られるのは納得いかない!」「(自分よりも年下の)この人に注意をされるのは、絶対に嫌だ。指示されるなんて我慢できない」職場や学校でこのように感じて、腹が立ったりその結果、対人関係が上手くいかなくなったことはないでしょうか。あるいは些細な会話でも”相手より優位に立ちたい”という気持ちが優先し、いつの間にか会話が言い争いに発展し、よいコミュニケーションをとることが難しくなったという経験はないでしょうか。

このような「いつも相手に勝っていたい」「何事に対しても負けたくないという考え方が、言動の基準になっていることを、「勝ち負け思考」と言います。大人の発達障害、仕事上の困りごととして、発達障害の「特性」が相手に理解されていないために生じる、コミュニケーションエラーというものがありますが、この「勝ち負け思考」がいき過ぎると、人との関りに「ひずみ」をもたらしてしまう原因となります。

「勝ち負け思考」がなぜ発達障害の特性としてあるのかについて、また勝ち負け思考に陥らない工夫や対処法についてご紹介したいと思います。

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ディーキャリア大分オフィスの職業指導員、看護師の秋元です。ディーキャリア大分オフィスは発達障害の特性に応じた訓練プログラムを提供している、大分県で唯一の就労移行支援事業所です。発達障害(注意欠如・多動性障害ADHD 自閉症スペクトラム障害ASD )の方が多く利用されています。専門知識のあるスタッフで運営しています。

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(1)発達障害の特性:勝ち負け思考

会話で「相手を圧倒したい」「打ち負かしたい」と勝敗を求めることがあります。その結果、相手を思いやることが難しくなり、人間関係が上手くいかずいつの間にか孤立してしまい、関係性の修復ができないという結果になる場合もあります。発達障害者の特性のひとつである勝ち負け思考に関して、以下にまとめておきます。

ここからは次の順番で、勝ち負け思考についてみていきたいと思います。

① 勝ち負けにこだわった話し方の種類4つ  ② 勝ち負け思考の原因  ③ 勝ち負け思考に陥らない工夫(対処法)ステップ1~3

一つづつ見ていきましょう。

① 勝ち負けにこだわった話し方の種類4つ 勝ち負けにこだわった話し方の特徴として4つ挙げられます。

(1)知識で勝とうとする。:相手よりも自分の方が「知っている」「理解している」と示したいという気持ちから会話を進めます。相手が知らなかったことを「そんなことも知らないの?」と言ったり、大きなため息や軽蔑した目線、見下した言葉などで相手にプレッシャーをかけるのです。

(2)会話の主導権を持とうとする。:「ずっと会話の中心にいたい」という気持ちから、一方的に話し続けたり会話の中心に居続けるために、自分と違う意見に対して否定を繰り返すという態度をとります。複数人でおしゃべりをするときに生じやすい態度です。例えばAさんの「昨日の仕事はきつかったね、大変でしたね」という思いに対して、「昨日の仕事に比べたら私が以前やった〇〇の仕事の方が、大変だったしきつかったよ!」という風に、些細な雑談での会話に対しても、マウントをとろうとする態度です。

(3)大声を出したり怒鳴るなど、話し方で相手に勝とうとする。:特に相手を言葉の内容だけでは負かすこと出来ない場合、勝つため(納得しない相手を打ち負かすため)の荒手の方法と言えます。力づくで、強引に会話を進めているため、もはや相手にとっては会話ではなくなっていて、それは「威嚇」であり、話している人は「こわい存在」」で、「早く逃げたい」し「二度と関りたくない相手」になってしまうのです。この結果は(相手はもちろんですが)、自分自身にも精神的苦痛や精神的負担が大きくかかってくることなのです。

(4)自分をわざと落とす表現(卑屈)をして、相手にそれを否定させることを強要する話し方。:例えば「私はどうせ〇〇だから・・・」「こんなダメ人間だから・・・」とあえて伝えて、相手から「そんなことないよ」と言わせる、強要する、そのような話し方です。この話し方は一見、相手よりも弱く自分を見せているようで、実は相手に「そんなことないよ」と言わせることで、自分が勝とうとする話し方です。

以上をまとめておきます。

次にこのような勝ち負け思考になる原因についてみていきます。

② 勝ち負け思考の原因   

勝ち負け思考の原因について図示しました。 

自己肯定感が低いと”自分だけで自分の精神を成り立たせること”が、とても難しくなってきます。自分の精神を成り立たせられなくなると、人は「自分はここにいていい」という思いを持ち続けることが困難になってきます。自己防衛反応として、「相手との勝敗」という非常に分かりやすいものに、意識が向かい、腕力を必要とせず且つ痛みを身体に受けない会話という対人手段を用い、会話に「勝つこと」で、自己肯定感の代わりになるものを得ようとしているのです。このことを図示すると次のようになります。

それでは最後に勝ち負け思考に陥らない工夫(対処法)について3つのステップで説明していきます。

③ 勝ち負け思考に陥らない工夫(対処法)ステップ1~3 まず、勝ち負け思考から抜け出すために有効な3つのことを示します。

①「自己肯定感」を回復する。

②会話で勝負にこだわる気持ちを抑える。

③相手を思いやる気持ちを持つ。しかしながらこの3つを理解できたことだけでは、実際に勝ち負け思考から抜け出すことは難しいです。物事が「わかること」と「実際に何をするかを知っていること」とは違うからです。なので今回は、”ものの受け取り方のクセや考え方のクセをみつけ、気づき、客観的な視点から自分の行動を少しづつ変えていく方法”を紹介したいと思います。

「どうして話しているこの人に、肯定的な態度がとれないのかな」と、自分に問うことを繰り返していくと、もしかしたら、そもそも勝負をする必要のないことがわかるかもしれません。またこの問いを自分に繰り返すことで、その相手との会話の本来の意味が明確になり、勝ち負けは関係ないことに気付くことができるかもしれません。ここまで到達すれば次のステップ3はスムーズにおこなえるのではないでしょうか。

相手は「負けている」とか「劣っている」とは考えてはいないし、思ってもいないことが分かれば、勝ち負けにこだわっているのは実は自分だけだったということに納得し、話し方や行動もおのずと変わってくることが期待できます。

まとめ

大人の発達障害「勝ち負け思考」の原因と解決法について、お話ししました。原因は「自己肯定感の低さ」でした。対処法は客観的な視点から自分の行動を少しづつ変えていく方法として、3ステップでご紹介しました。コミュニケーションエラーの原因ともなる「勝ち負け思考」から自由になり、「そもそも勝負をする必要はない」ことが分かる、それだけでもストレスは軽減しそうですね。

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本日、ご紹介したような大人の発達障害、困りごとの特性に対して、具体的な解決方法を訓練でおこなっています。ライフスキルコース(「あなた自身の人生を築いていくためのスキル」を訓練するコース)ではもちろんですが、ワークスキルコースにおいても、さらに詳しく仕事上の困りごとに対して具体的な対処法を訓練を通して体得していきます。ブログにて一部紹介していますのでご覧ください。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 

 

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