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苦手や失敗から特性の見方を拡げコツを紹介。大人の発達障害(ASD・ADHD)のリフレーミングとは?

「どうして自分は、こんなに気にしてしまうんだろう」
「また失敗した。やっぱり向いていないのかもしれない」

仕事や日常生活の中で、このように自分を責めてしまうことはないでしょうか。
発達障害(ASD・ADHD)の特性に悩む方の中には、「自分はダメだ」と思い詰めてしまう方も少なくありません。

この記事では、筆者がディーキャリアでの訓練の中で学んだ、特性の見方を広げる「リフレーミング」について、大人の発達障害(ASD・ADHD)の特性ごとの具体的な言い換え例、今日から実践できるコツまでを分かりやすくご紹介します。


【筆者紹介】
ディーキャリア郡山オフィスの利用者Bです。
私自身も、ディーキャリアでの訓練を通して「リフレーミング」に出会い、自分の特性に対する捉え方が大きく変わりました。

就労移行支援とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスです。ディーキャリア郡山オフィスは、大人の発達障害に特化したコンテンツで長期的な就業に向けたサポートを行っています。あなた本来の力を発揮するための自己理解がテーマです。就職はゴールではありません。社会で活躍し続けることを目指すための就労移行支援です。


リフレーミングとは?意味と基本の考え方をわかりやすく解説

リフレーミングとは、ある出来事や状況に対する「視点の枠組み(フレーム)」を組み直し、別の発想から捉え直すことで、物事の意味づけや受け止め方を広げる心理学の手法です。

有名な例えに、「コップに半分入った水」があります。

「もう半分しかない」と感じるか、「まだ半分もある」と感じるか

中身の量は同じでも、見方ひとつで受け止め方は大きく変わります。

リフレーミングとは、このように「物事の別の側面」に焦点を当てる考え方ともいえます。

発達障害を持つ人にとってリフレーミングが大切な理由

自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などの発達特性は、本来は「情報の受け取り方や処理スタイルの違い」であり、能力の優劣ではありません。

しかし、学校や職場などの多くは「多数派(定型発達)の特性」を基準に作られているため、特性を持つ方は「苦手」や「生きづらさ」に直面しやすく、次のような負のサイクルに陥ってしまうことがあります。

  • 「また同じ失敗をするのではないか」という強い不安
  • 「自分は何をやってもダメだ」という自己否定
  • 過去の失敗を何度も思い出す「反芻思考(ぐるぐる思考)」

このようなサイクルを断ち切るために役立つのが、リフレーミングです。

リフレーミングは、ポジティブシンキングと混同されることがありますが、この2つは意味が異なります。

ポジティブシンキングが「物事を明るく捉えよう」とする考え方なのに対し、リフレーミングは「出来事はそのままに、別の側面を見つけよう」とする技術です。

感情を無理に押し込める必要はありません。
ネガティブな感情を否定せず、「別の見方はないか」と視点を広げるだけでいいのです。

発達特性を持つ方にとって、リフレーミングは「この個性をどう活かすか?」という視点を持つためのきっかけになります。

その視点を持つことで、自分に合った工夫や環境調整(合理的配慮の相談など)もしやすくなり、結果として自己理解や自信の回復につながっていきます。

では実際に、特性ごとにどのようなリフレーミングができるのか、具体例を見ていきましょう。

【具体例】ASD・ADHDの特性を強みに変えるリフレーミング一覧

ここでは、発達特性の例として、自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の特性を取り上げ、リフレーミングの例を紹介します。

なお、発達特性の現れ方には個人差があり、すべての方にそのまま当てはまるわけではありません。

ここではあくまで一例として紹介します。

  • 自閉症スペクトラム症(ASD)

ASDは、社会的なコミュニケーションのスタイルや、特定の物事への強い関心、感覚過敏などがみられる発達特性です。

「対人関係が苦手」「こだわりが強い」といった側面が注目されがちですが、見方を変えることで、仕事上の強みにもなります。

カテゴリー特性(困りごと)リフレーミング
  仕事面同じやり方にこだわる作業の品質を安定させる
ルールや手順を重視する正確な作業が得意
一人作業を好む高い集中力を発揮する
  対人面空気を読むのが苦手周囲に流されにくい
本音をそのまま言いやすい素直で率直
雑談が苦手無駄のない効率的な発信が得意
  思考・行動の特徴曖昧な表現が苦手論理的に物事を捉える
興味の偏りがある専門性を深めやすい
予定変更が苦手計画性が高い
  • 注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDは、不注意、多動性、衝動性といった特性を中心とする発達特性です。

「落ち着きがない」「ケアレスミスが多い」といったイメージを持たれやすいですが、行動力や発想の豊かさといった側面も持ち合わせています。

カテゴリー特性(困りごと)リフレーミング
  仕事面ケアレスミスが起こりやすいスピード感がある
同じ作業を続けるのが苦手変化のある仕事で力を発揮
締切直前に力を発揮プレッシャー下で集中できる
  対人面思ったことをすぐ言う裏表がなく素直
話が飛びやすい発想が豊か
感情の波が大きい感受性が豊か
  思考・行動の特徴集中が続きにくい切り替えが早い
気が散りやすい周囲の変化に気づきやすい
じっとしているのが苦手行動力がある


このように、一見短所に見える特性も、視点を広げることで強みとして捉え直すこともできます。
とはいえ、実際にリフレーミングしようとすると、少し難しく感じるかもしれません

そこで、日常の中で上手にリフレーミングするための簡単なコツをご紹介します。

今日からできるリフレーミングのコツと実践方法

リフレーミングは、特別な技術というわけではなく、少し意識を変えることで日常の中でも取り入れることができます。

ここでは、実践する際に意識したいポイントをいくつかご紹介します。

① 無理にポジティブに考えようとしない

前述したとおり、リフレーミングは無理に前向きな考え方をすることではありません。

無理やりポジティブに変換しようとすると、現実から目をそらしてしまったり、問題を先送りにしたりする原因になります。

また、ネガティブな感情を無理に抑え込んで明るく振る舞おうとすると、かえって心が疲れてしまう可能性もあります。

大切なのは、自分の感情や事実を否定せずに、「別の側面はないだろうか」と視点を広げてみることです。

② 「状況」と「内容」を使い分ける

リフレーミングには、大きく分けて「状況のリフレーミング」「内容のリフレーミング」というアプローチがあります。

この違いを知っておくと、より効果的に視点を切り替えられます。

状況のリフレーミング

特性や出来事を「どの場面なら強みになるか」というように、環境や背景を変えて、「適材適所」を考える方法です。

例えば、デスクワークでは困りごとになりやすい「じっとしているのが苦手」という特性も、外回りやイベント運営など「動き回ることが求められる現場」では、フットワークの軽さという武器になります。

内容のリフレーミング

特性や出来事を「別の価値はないか」というように、意味を捉え直して、「強みの本質」を考える方法です。

例えば、「こだわりが強い」という特性は、見方を変えれば「物事を丁寧に追求できる」という強みに言い換えることができます。

③ 考えを書き出して整理する(ジャーナリング)

頭の中だけで考えていると、同じことを何度も思い返してしまい、思考がまとまらなくなることがあります。
特に、「反芻思考(ぐるぐる思考)」が起きやすい場合は、考えを外に出して整理することが有効です。

反芻思考については、筆者が以前書いた記事でも詳しく解説しています。

原因や具体的な対処法を知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。

▶ 反芻思考|ぐるぐる思考が止まらない原因と大人の発達障害(ASD・ADHD)・精神障害の方向けの4つの対処法
https://dd-career.com/blog/koriyama_20260302/

まずは、ノートやスマホのメモアプリを使って、今の気持ちをそのまま書き出してみましょう。
文章として書かなくても、単語や箇条書きで短くメモするだけでも十分です。

そうすることで、出来事や感情を客観的な視点で見る(メタ認知)ことができます。

そして、少し心が落ち着いたら、書き出した言葉の隣に「リフレーミング」した言葉を添えてみてください。

こうして「自分専用の言い換えリスト」を作っておくと、後から読み返したときに、自分を支える心強いお守りになります。

リフレーミングの効果|自己肯定感・ストレス軽減・問題解決力の向上

リフレーミングを習慣として取り入れることで、日常生活や職場において、さまざまなメリットが期待できます。

ここでは、リフレーミングを実践することで得られる主な効果についてご紹介します。

  • 自己肯定感が上がり、メンタルが安定しやすくなる

「自分はダメだ」という否定的な認識が、「自分にはこういう一面もある」といった前向きな捉え方に変わることで、自分を責め続けてしまう時間が少しずつ減っていきます。

また、心が折れにくくなり、失敗しても「次はこうしてみよう」と前向きな行動につなげやすくなります。

  • 自己理解が深まり、ストレスへの対処がしやすくなる

自分の特性や性格を客観的に捉え直すことができるため、「どのような場面で困りやすいのか」「どんな環境なら力を発揮できるのか」が見えてきます。

それが分かると、合わない環境で無理をすることを防いだり、周囲に「このようにサポートしてほしい」と具体的に伝えたりと、合理的配慮の相談もしやすくなります。

結果として、ストレスを未然に防ぐ力が身についていきます。

  • 問題解決能力が上がる

一つの視点に固執せず、「別の見方はないか?」と考える習慣は、そのまま仕事における問題解決の力につながります。

予期せぬトラブルが起きたときでも、「この状況から何を学べるか」「別の方法で対応できないか」と柔軟に考えられるようになるため、周囲からの信頼にもつながっていきます。

まとめ|リフレーミングで発達特性を強みに変える第一歩

今回ご紹介した「リフレーミング」は、物事の見方を少し変えることで、自分自身の捉え方や行動を前向きにしていく考え方です。

発達障害の特性は、どうしても「短所」として捉えられてしまいがちですが、視点を変えることで「強み」として活かすこともできます。

最初からうまくできなくても大丈夫です。 
「別の見方はないか?」と少し立ち止まって考えるだけでも、十分な一歩です。

日常生活や仕事の中で少しずつ意識していくことで、自分に合った考え方や対処法が見つかり、より働きやすく、過ごしやすくなっていきます。

ぜひ、今日からできる小さなリフレーミングを取り入れてみてください。


リフレーミングの種類や具体的な実践方法について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

▶ リフレーミングとは?種類や具体的な実践方法、ビジネスで生かせる物事の捉え方を解説(マイナビキャリアリサーチLab)
https://www.nlpjapan.co.jp/nlp-focus/reframing-list.html

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Q. まだ利用するか決めていませんが、相談してもいいですか?
A. もちろん大丈夫です。半数以上の方が「まずは話だけ」のご相談です。

Q. 一人で行くのが不安です。家族と一緒でも良いですか?
A. 問題ありません。ご家族や支援者の方の同席も歓迎しています。

ひとりで抱え込まず、よければ一度ご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

就労移行支援事業所 ディーキャリア郡山オフィス
(監修)就労支援員/社会福祉士:石黒 千春
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