職場や日常で感情爆発をなくすには?大人の発達障害(ASD・ADHD)の『怒りの傾向』と『コントロール法』
「またカッとなってしまった」「どうして自分はこんなにキレやすいのだろう」
職場で上司や同僚に心無いことを言われた時、計画通りに物事が進まなかった時、あなたは衝動的に感情を爆発させ、後から深く後悔した経験はありませんか?
大人の発達障害(ASD・ADHD)を持つ方にとって、「怒りのコントロール」は、仕事や人間関係を継続する上での大きな壁となることがあります。ASDの強いこだわりやADHDの衝動性といった特性は、時に感情を制御不能にし、周囲に誤解を与えたり、大切なものを失ったりする原因となってしまいます。
もし、あなたが以下のような悩みを抱えているなら、この記事がその解決の糸口になるかもしれません。
🗣️ 感情のままに発言してしまい、職場で孤立しがちだ
💥 些細なことで癇癪を起こし、モノを壊したり、後悔する行動をとったりしたことがある
⚖️ 自分の「怒るライン」が他人と比べて極端に狭いと感じる
人はなぜ怒るのか?そして、発達特性を持つ方が感情に振り回されずに「働き続ける」ためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
このブログでは、衝動的な行動に歯止めをかけ、冷静に自分をコントロールするための具体的なステップ(アンガーマネジメント)と、実践しやすい対処法をご紹介します。
感情に支配される自分から卒業し、穏やかで前向きな未来を目指すための一歩を踏み出しましょう。

【筆者紹介】
ディーキャリア郡山オフィス 就労支援員・社会福祉士の石黒 千春です。
支援員の視点と人事経験を活かした視点で、就職活動の支援をおこなっています。
ちなみに私は、比較的穏やかな性格で、声を荒げたり、物にあたったりすることはありません。しかし、こういうタイプは定期的に発散しないと、自分の中に溜まった小さな怒りが、大きな怒りになる可能性があるので注意しています。
就労移行支援とは、障害のある方が就職するための「訓練・就職活動」の支援をおこなう障害福祉サービスです。ディーキャリア郡山オフィスは、大人の発達障害に特化したコンテンツで長期的な就業に向けたサポート。あなた本来の力を発揮するための自己理解がテーマです。就職はゴールではありません。社会で活躍し続けることを目指すための就労移行支援です。
「怒りに任せた行動を取るとどういうことになるか」
皆さんは怒っている人を見てどう思いますか?もしかすると以下のように思ったことがあるかもしれません。
・怒っている人を避ける、怖がる、面倒くさい人と思う、信用できない。
・誰かが傷つく(身体も心も)、モノが壊れる。
モノが壊れたくらいは、買い直せばいいと言う方もいるかもしれませんが、買うにはお金も時間もかかります。
つまり、感情のままに怒ったことで、その分のお金と時間をロスしていることになります。
それって結構な損じゃないですか?
最悪の場合は他者や自分が傷つくことで、仕事を失ったり、大切な人が離れていってしまったり、長く自由を制限されてしまう、ということもあるかもしれません。
これ以上は、さらにネガティブな表現しかでてこなさそうなので、やめておきます。
では、そもそも人はなぜ、怒るのでしょうか?
「なぜ、人は怒るのか?」怒りの正体は「べき」の衝突
怒りという感情は、その人にとって「許せない」出来事が発生した時に生まれます。この「許せない」の根本にあるのが、その人が持つ「〜するべき」「〜であるべき」という信念や価値観です。
人は、なんらかの出来事に遭遇した際、その出来事に対して「意味づけ」をおこないます。この意味づけの段階で、自分が持っている「べき」が裏切られたと感じると、感情のコップがあふれて怒りが発生します。

発達特性と「べき」の強さ
発達障害(ASD・ADHD)のある方は、この「べき」が非常に強く、あるいは独特な形で現れる傾向があります。これが、感情のコントロールを難しくする大きな要因の一つです。
【ASD(自閉症スペクトラム障害)の場合】
白黒思考・完璧主義:「ルールは絶対に守るべき」「予定は寸分違わず遂行されるべき」といった強いこだわりや完璧主義的な「べき」を持つ傾向があります。この白黒思考により、少しでも自分の基準から外れると「それは間違いだ」「許せない」と認識し、怒りの感情に直結しやすいのです。
相手の立場の考慮の難しさ:相手の事情や文脈をくみ取ることが苦手なため、「相手にも事情があったかもしれない」といった意味づけの幅が狭くなりがちです。結果として、自分の中の「べき」が常に正しいものとして強く主張され、他者との衝突を生みやすくなります。

【ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合】
衝動性による感情の爆発: 衝動性という特性により、自分の「べき」が裏切られたと感じた瞬間に、冷静な思考を挟む間もなく感情が爆発しやすい傾向があります。怒りのピーク(6秒間)を乗り越える前に衝動的な言動に出てしまい、後悔するというパターンを繰り返します。

【実践】怒りのコップの許容範囲を知る
あなたの「怒りのコップ」は、人よりも小さくなっていませんか?
怒りをコントロールする第一歩は、自分がどのような「べき」を持っているのか、そして、その「べき」がどの程度裏切られたときに怒りを感じるのかという許容範囲(怒りのコップの大きさ)を客観的に把握することです。
ここでは、私が支援の中で見た『怒りの表れ方の傾向』を紹介します(あくまで一例で、すべての方に当てはまるわけではありません)
【ASD(自閉症スペクトラム障害/アスペルガー障害なども含む)の怒りの一例】
言葉は丁寧で、内容は論理的ではあるものの、表情や声のトーンには圧があります。他人から見ていると、相手が回答に困ろうものなら、攻撃の糸口を見つけたと言わんばかりに責め立てているようにも見えます。
自分自身のこだわりが強く、自分だけでなく他者に対しても「こうあるべき」「~するべき」が強く求めてしまう傾向がある方もいます。
【ADHD(注意欠如・多動性障害)の怒りの一例】
会話のなかで、自分が納得できないことがあると感情を抑えることが難しく、話を遮ったり、会話自体を終わらせようとしたりします。
落ち着けば冷静に会話することができますが、感情的になったり、衝動的になってしまったりしたのでは?と感じました。
どちらかというと、ADHD(注意欠如・多動性障害)の方の怒りの例の方が、怒っているというイメージに近いかもしれません。
「怒ることは悪なのか?得られるものは?」
ここまで読んでいただくと、多くの方が「怒る」=「悪いこと」のような印象を持つかもしれません。
確かに、怒りの感情をコントロールすることは難しいことです。コントロールできないと悪い面の方が目立ってしまい、仕事や日常生活に大きな影響を与えることがあります。
しかし、怒りの感情をコントロールすることができれば、毎回ではなくてもプラスに作用させることも可能かもしれません。
例えば、スポーツではよくある話ですが、相手の挑発によって、カッとなってしまって冷静さを失うことが、相手に付け入るスキを与えてしまうことになります。
サッカーの元フランス代表MFで、元レアル・マドリー指揮官のジネディーヌ・ジダン氏のエピソード、テニス界の生けるレジェンド、ロジャー・フェデラー氏のエピソードは、私たちにとってとても大切な教訓になっています。
GOAL [ジダン、頭突き事件を振り返る「マテラッツィには姉のことを言われた。彼女は具合が悪い母のそばにいた」「フランス代表での冒険はあれで終わらせない」]https://www.goal.com/jp/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/zidane-france-materazzi-20220626/blt6c47b7fb2afdc52d (2026年1月5日参照)
東洋経済オンライン「第1回 怒りで、ジダンが失ったもの、フェデラーが得たもの」https://toyokeizai.net/articles/-/30970(2026年1月5日参照)
怒ることによって、人間関係を壊すことが可能です。他人からの印象を悪くすることも可能です。もしかしたら、仕事を失うかもしれません。自分に向けられた善意を遠ざけるかもしれません。
しかし、怒りは何かを失うばかりではありません。
新しい気付きを得たり、何かを生み出したり、情熱の着火剤のような役目を果たすこともあります。
その機会を増やしていくためには、怒りをコントロールしていかなければなりません。
「怒りをコントロールするための対策」

睡眠・栄養・運動の3つが乱れると
発達特性の有無に関わらずストレス耐性は大きく下がります。まずはこの3つを整えるだけでも怒りの衝動は弱まりやすくなります。
以下、参考になる記事の紹介です。
日本経済新聞「ブレーキが効かない 睡眠不足の人がキレやすいワケ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33102070Y8A710C1000000/(2025年11月23日参照)
アンガーマネジメントを実践する
アンガーマネジメントという言葉を聞いたことはあるでしょうか?
「怒らないことを目的とするのではなく、怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになることを目標としています。」
一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会 https://www.angermanagement.co.jp/(2025年11月23日参照)
アンガーマネジメント理論を知り、実践することも有効な手段です。
今日から実践、怒った時の対処法

ここからは、今日から実践できる具体的な対処法をご紹介します。
おすすめは「6秒ルール」と「40秒ルール」です。
怒りは、怒りを感じてからの6秒でピークに達すると言われています。そして、怒りを感じてから40秒経過すると怒りのピークから半減するといわれています。
そのため、時間を経過させることが実践できれば、衝動的な行動・言動を避けることができるかもしれません。
では、その6秒、40秒をどのように過ごすのかですが、
深呼吸、ストレッチ、好きなセリフを思い出す、好きな曲のフレーズを思い出す、あの人だったらどうするだろと考える、とりあえず数を数える、水を飲む。など。
場所やシチュエーションによってできることが違ってきますので、いくつか実践していただき、用意しておくことをお勧めします。
怒りを感じた時だけでなく、怒りを感じそうな時、普段のリラックスしたいときなどに試してみてください。
参考になる本も一冊紹介します。
ストレスフリー超大全 樺沢紫苑 著
さまざまな環境の変化などにより、「メンタル疲れ」「人疲れ」「体調不良」などを感じる人に向けて、“ストレスフリー”になれる科学的な実践法を多数紹介する。70万部の大ベストセラー
ダイアモンド・オンライン https://diamond.jp/category/s-StressFreeTaizen/info (2025年11月23日参照)
就労移行支援事業所での訓練は?ディーキャリア郡山オフィスの場合
ディーキャリア郡山オフィスでは、定期的にアンガーマネジメントの訓練をおこなっています。
訓練では、アンガーマネジメントの考え方をベースに、自分自身の怒りの傾向を知ったり、客観的な意見を聴いたりすることができます。
スタッフや他者が感じた怒りや成功体験・失敗体験を知ることで、自分を客観視することができるようになります。
「あの時、こうしておけばよかった」「こう伝えればよかった」「そういう伝え方をすればよかったのか」などを知ることが、次の機会のより良くするための材料になります。
過去の経験を振り返って、捉え直してみることで、囚われていることから少しだけ距離を置くことができるかもしれません。
アンガーマネジメントを理解することが、自分自身の許容範囲を見つめ直すきっかけになります。
「利用者の方に聞いてみました」
アンガーマネジメントの訓練を実践して変わったことはありますか?
「アンガーマネジメントの訓練を繰り返すことで、自分の感情を客観視できるようになりました。自分はなぜ怒っているのか?これは怒るべきなのか?実は怒る必要がないことなのでは??など考えているうちに、時間が過ぎて冷静に考えられますし、落ち着いてから自分の気持ちを伝えることができるようになりました。時々、イラっとすることはありますが、自分の許容範囲を知ることで区別できるようになりました。今後もアンガーマネジメントの考え方を忘れずに、許容範囲を大きくできればと思っています。」
今回の最後に
アンガーマネジメントは、怒りの感情とうまく付き合うための技術です。
怒りは人の感情なので、100%コントロールできるようになるわけではありませんが、大きなトラブルを減らすことができる可能性があります。
また、小さな一歩を続けることで「怒りに振り回されない自分」に近づきます。
感情を一定に保つことは、その人が持っている能力・スキルを発揮するために必要なことです。
アンガーマネジメントをきっかけに、感情に支配されない自分を目指してみてはいかがでしょうか。
自分にも他人にもきっと良い影響をもたらすと思います。
▶ 見学・相談について(無料・要予約)
ディーキャリア郡山オフィスでは、無理な勧誘は一切ありません。
利用を迷っていても大丈夫です!
Q. まだ利用するか決めていませんが、相談してもいいですか?
A. もちろん大丈夫です。半数以上の方が「まずは話だけ」のご相談です。
Q. 一人で行くのが不安です。家族と一緒でも良いですか?
A. 問題ありません。ご家族や支援者の方の同席も歓迎しています。
ひとりで抱え込まず、よければ一度ご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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就労移行支援事業所 ディーキャリア郡山オフィス
就労支援員/社会福祉士:石黒 千春
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