「就労移行支援は意味ない」と言われる理由とは?
こんにちは!ディーキャリア川崎オフィス職業指導員の吉村です。
今回は、インターネット上でもよく見かける「就労移行支援は意味ない」という声について。
就労移行支援について調べていると、
「就労移行支援 意味ない」
「就労移行支援 やめとけ」
「就労移行支援 無駄」
といった、検索候補が表示されることがあります。これから利用を検討している方にとっては、不安になる言葉かもしれません。
実際、私も支援員として働く中で、「就労移行支援ってどんな意味があるんですか?」「通ったら仕事を紹介してもらえるんですか?」というご質問をいただくことがあります。
もちろん、利用されたすべての方が満足しているわけではありません。しかし一方で、就労移行支援を活用して自分に合った職場へ就職し、長く働き続けている方も数多くいらっしゃいます。
ではなぜ、「利用して良かった」という方と「意味がなかった」と感じる方に分かれるのでしょうか。
今回は、就労移行支援事業所で職業指導員として働く立場から、「就労移行支援は意味ない」と言われる理由について率直にお話ししたいと思います。
目次
- そもそも就労移行支援とは何をする場所なのか
- 「意味ない」と言われる理由① 通えば就職できると思ってしまう
- 「意味ない」と言われる理由② 働く準備の重要性が伝わりにくい
- 「意味ない」と言われる理由③ 自分に合わない事業所を選んでしまう
- 「意味ない」と言われる理由④ 就職だけをゴールにしてしまう
- 利用して良かったと言われる方の共通点
- まとめ
そもそも就労移行支援とは何をする場所なのか
まず最初に、就労移行支援について誤解されやすいポイントがあります。
それは、「仕事を紹介してもらう場所」だと思われていることです。
実際にお問い合わせでも、「どんな求人を紹介してくれますか?」「利用したら就職先を紹介してもらえるんですよね?」というご質問をいただくことがあります。
確かに、「就労支援」という言葉だけを聞くと、人材紹介会社や派遣会社のようなサービスをイメージする方もいるかもしれません。
しかし、就労移行支援の役割は、求人紹介ではありません。
もちろん、求人探しや応募書類の作成、面接練習などのサポートは行います。しかし、それ以上に重要なのが「働く準備をすること」です。
生活リズムを整えること。安定して通所すること。自分の得意なことや苦手なことを理解すること。職場で必要なコミュニケーションを学ぶこと。ストレスへの対処方法を身につけること。
これらは一見すると就職活動とは関係がないように見えるかもしれません。
しかし、実際の企業は採用時にこうした部分を非常に重視しています。
私自身、企業担当者の方とお話しする機会がありますが、「Excelが使えるか」よりも先に、「安定して出勤できますか?」「継続して勤務できそうですか?」という話になることが少なくありません。
どれだけ能力が高くても、どれだけ資格を持っていても、勤怠が安定していなければ採用につながる可能性は低くなります。
これは障害者雇用に限った話ではありません。一般雇用でも同じです。
企業はボランティアではなく、一緒に働く仲間を採用します。そのため、「毎日出勤できること」「決められた時間に勤務できること」は、仕事のスキルと同じくらい重要な要素なのです。
就労移行支援で通所訓練や生活リズムの改善を重視するのは、そのためです。

「意味ない」と言われる理由① 通えば就職できると思ってしまう
就労移行支援を利用すると、自動的に就職できると思われている方もいます。
しかし、就労移行支援は魔法のサービスではありません。
スポーツジムに例えると分かりやすいかもしれません。ジムに入会しただけで筋肉がつくわけではありません。継続してトレーニングすることで少しずつ成果が出ます。
就労移行支援も同じです。
通所しながら生活リズムを整え、自己理解を深め、職場実習に参加し、応募や面接に挑戦する。その積み重ねによって就職へ近づいていきます。そのため、「通えば何とかしてもらえる」と考えていると、期待とのギャップが生まれてしまいます。
一方で、「自分の課題を改善したい」「働くための準備をしたい」という意識で利用されている方は、多くのことを吸収しながら前に進んでいます。
「意味ない」と言われる理由② 働く準備の重要性が伝わりにくい
就労移行支援では、ビジネスマナーやパソコンスキルだけでなく、生活面や体調面の支援も行います。しかし、これが利用者の方によっては「就職と関係ないことをやらされている」と感じられることがあります。
例えば、
・朝決まった時間に起きる
・週5日通所する
・体調を記録する
・報告連絡相談を行う
こうした訓練です。
一見すると簡単なことのように思えます。
しかし、就職後に長く働き続けるためには非常に重要です。
実際に退職理由として多いのは、スキル不足ではなく体調不良や人間関係の問題です。仕事そのものはできても、生活リズムが乱れて欠勤が増えてしまったり、相談できずに一人で抱え込んでしまったりするケースは少なくありません。
だからこそ、就労移行支援では「仕事ができること」だけでなく、「働き続けられること」を重視しています。
「意味ない」と言われる理由③ 自分に合わない事業所を選んでしまう
就労移行支援事業所は全国に数多くあります。そして、事業所ごとに特色は大きく異なります。
在宅支援に強い事業所もあれば、IT分野に特化している事業所もあります。発達障害支援に力を入れている事業所もあれば、精神障害の支援経験が豊富な事業所もあります。
そのため、自分に合わない事業所を選んでしまうと、「思っていた内容と違った」「自分には合わなかった」と感じてしまうことがあります。
就労移行支援が意味ないのではなく、単純に相性の問題であるケースも少なくありません。
見学や体験利用を行い、事業所の雰囲気や支援方針を確認することをおすすめします。できれば複数の事業所を比較してみると良いでしょう。
「意味ない」と言われる理由④ 就職だけをゴールにしてしまう
就職活動をしていると、「採用されること」がゴールに見えてしまいます。
しかし、本当に重要なのは就職後です。
入社して1か月で退職してしまう。
無理をして体調を崩してしまう。
職場で相談できずに孤立してしまう。
これでは本人にとっても企業にとっても良い結果とは言えません。
就労移行支援では、「その職場で長く働けるか」「無理なく続けられるか」を重視しています。そのため、時には就職を急がず、準備期間を長めに取ることもあります。
利用者の方によっては、「なかなか就職活動が始まらない」と感じることもあるかもしれません。
しかし、焦って就職して早期離職するよりも、しっかり準備をして長く働ける職場を見つける方が結果的には近道になることも多いのです。
利用して良かったと言われる方の共通点
一方で、就労移行支援を利用して良かったと話される方には共通点があります。
それは、「働く準備期間として活用していた」ということです。
自分の強みや課題を整理できた。
生活リズムが整った。
職場実習を通じて向いている仕事が分かった。
相談できる相手ができた。
就職後も定着支援を受けられた。
こうした経験を通じて、自信を持って就職活動へ進まれています。
実際、就職された方から「働く前に準備する時間があって良かった」「あの時は遠回りだと思ったけれど、今思うと必要な時間だった」というお話をいただくこともあります。

まとめ
「就労移行支援は意味ない」という意見があるのは事実です。
しかし、その多くは就労移行支援に対するイメージと実際の支援内容とのギャップから生まれているように感じます。
就労移行支援は、仕事を紹介してもらう場所ではありません。働くための準備を整え、自分に合った働き方を見つけ、長く働き続けるための場所です。
そして、その中でも特に大切なのが「安定して通所すること」です。
企業が見ているのは、資格やスキルだけではありません。
毎日出勤できること。決められた時間に勤務できること。困ったときに相談できること。そうした土台があって初めて、仕事のスキルが活きてきます。
もし今、働くことに不安を感じているのであれば、一度見学や相談をしてみてください。
利用するかどうかは、その後に決めれば大丈夫です。まずは話を聞いてみること。それも立派な第一歩です。
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