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「自分の困りごと」を言葉にする訓練|特性理解プログラム|ディーキャリア 川崎オフィス

こんにちは!
ディーキャリア川崎オフィスの伊藤です。

「自分の困りごと」を言葉にする訓練|特性理解プログラム|ディーキャリア 川崎オフィス

「なんとなく仕事がうまくいかない」「注意されてもなぜ失敗したのか自分でもよくわからない」——そんな経験はありませんか?

ディーキャリア 川崎オフィスでは、「特性理解」をテーマとした訓練を定期的に実施しています。2026年4月30日に行われた訓練では、参加者が自分自身の情報処理の特徴を言語化し、職場でどのような困りごとにつながるかを具体的に整理しました。

この記事では、その訓練の内容と参加者のリアルな気づきをご紹介します。就労移行支援に興味のある方や、「自分に合った働き方」を探している方のヒントになれば幸いです。

「自己理解」って、完璧にひとりでできるものじゃない

訓練のはじめに、スタッフからこんな話がありました。

🗣 訓練スタッフより

「自己理解は100%自分ひとりで完璧にできるものではありません。どちらかというと、他の方と協力しながら自分の姿を客観的に見るトレーニングを積んでいくことが必要です。自分の主観だけで分析していると、どうしても視点の偏りが出てしまいます。」

「自分のことだから自分が一番よくわかっている」と思いがちですが、実は自己理解には「自分から見た自分」「他者から見た自分」「データが語る自分」という三つの視点が必要です。

自己理解の三つの視点
  • 自分から見た自分:自分の価値観・得意・苦手の自己分析
  • 他者から見た自分:支援スタッフや周囲からのフィードバック
  • データが語る自分:検査結果・職業適性検査・診断書など

また、「受け入れる」と「受け止める」はちがう、というお話も印象的でした。自己理解は「もう変われない」と思い込む作業ではなく、「今の自分の状態を客観的に把握して、これからの働きやすさにつなげるためのスタート地点」なのです。

人によってちがう「情報の受け取り方と処理のしかた」

今回の訓練では、「情報処理の過程」という考え方を学びました。私たちが何かを見たり聞いたりして行動するまでには、大きく三つのステップがあります。

1
受信(インプット)
目や耳などで外の情報を受け取る段階。聴覚・視覚・嗅覚などの感覚特性が関係します。
2
処理(思考・整理)
受け取った情報を頭の中で整理・理解・計画する段階。作業記憶・優先順位づけ・計画立案などが関係します。
3
送信(アウトプット)
理解した内容をもとに行動・発言・記録する段階。報告・連絡・メモなどのコミュニケーション行動が関係します。

この三つのどの段階に特性が現れるかは、人によってさまざまです。訓練では参加者が自分の特性を書き出し、シェアしました。

参加者が気づいた「自分の特性」——リアルな声

参加者がチャットや発表でシェアしてくれた内容を、特性の視点から紹介します(個人が特定されないよう配慮しています)。

聴覚過敏・注意の分散
「相手の話をメモを取りながら聞き取ることができない。話の内容が長くなるほど集中力が途切れてしまう。」
特性の観点から:聴覚情報の処理に特性があると、「聴く」と「書く」の同時進行(マルチタスク)が難しくなります。これは「集中力が足りない」ではなく、複数の情報チャンネルを同時に処理する際の認知的負荷が高いことが原因と考えられます。
過集中・切り替えの困難
「作業に集中しすぎて周りの呼びかけに気づけない。決められた時間になっても作業を続けてしまい、休憩時間がうまく確保できない。キリのいい基準がわからず、やめ時がわからない。」
特性の観点から:過集中とは、自分の意思で集中をコントロールすることが難しく、ひとつのことに注意が固定されてしまう状態です。「やめようと思ってもやめられない」という困りごとであり、職場では「新しい指示を聞きそびれる」「休憩が取れず体調を崩しやすい」「周囲とのズレが生じる」などにつながりやすくなることが考えられます。
曖昧な指示への対応困難
「『これやっといて』のような曖昧な指示をされると、これでよかったのだろうかと不安になりパフォーマンスが落ちる。実際に指示されたこととは違うことをやってしまうこともある。」
特性の観点から:言葉の解釈に幅が生まれやすい特性があると、「具体的に何をすればよいのか」が曖昧なとき、不安が増大します。これは能力の問題ではなく、情報の受け取り方に特徴があることで生じると考えられます。
感覚過敏(聴覚・嗅覚)
「大きな音や周りの話し声に敏感で、好きな音楽を聴きながらなら落ち着いて作業ができる。タバコやアルコールのにおいは苦手。」
特性の観点から:感覚過敏は「繊細すぎる」のではなく、脳や神経系の情報処理の仕方に個人差があることで生じると考えられています。特定の環境・音楽・配置が「対策」になることも、れっきとした合理的配慮です。
思い込み・ネガティブな自動思考
「何かネガティブなことがあると、相手から嫌われているのではないかと考えやすい。退室時に聞こえてくる他者の声が、自分への評価と関係しているのではないかと気になる。」
特性の観点から:思考の特性(べき思考・白黒思考・思い込みのパターン)は、就労場面で精神的疲弊につながりやすいポイントです。この傾向を知っておくだけで、「また始まった」と気づいて立て直すきっかけになります。
📝 訓練スタッフのコメント

「今書き出していただいたものは、正解・不正解ではありません。これは自己理解のためのです。ここから深掘りしていくことで、見え方がまた変わってきます。」


困りごとは、ひとりで全部解決しなくていい

特性による困りごとがわかったとき、「じゃあ全部自分で直さないと」と感じる方も多いかもしれません。でも、それは違います。

自分でできる対処 + 合理的配慮の依頼
この二つの組み合わせが、働きやすさをつくる

訓練では、困りごとを「自分だけで解決すること」と「周囲に配慮をお願いすること」に整理していくプロセスを学びました。

合理的配慮の具体例(訓練内で出た事例より)
  • 「口頭指示だけだと聞き漏れが多いので、復唱確認の時間をください」
  • 「静かな環境で話を聞かせていただけると理解しやすいです」
  • 「指示はできるだけ具体的にいただけると、正確に動けます」
  • 「手順書や紙ベースの説明があると理解しやすいです」
  • 「作業の区切りのタイミングを声かけしていただけると切り替えやすいです」

「こんなことをお願いしたら迷惑では?」と思う方もいるかもしれません。でも、合理的配慮の提供は、障害者雇用促進法および2024年4月に施行された改正障害者差別解消法により、事業者に義務付けられています。自分の特性を伝え、配慮を求めることは、正当な行動です。むしろ、自分の特性を事前にきちんと伝えることが、ミスを防ぎお互いの働きやすさにつながります。

訓練後の気づき——参加者の声

訓練の終わりに、参加者のひとりがこんな気づきを話してくれました。

💬 参加者の感想

「自己理解って、改めてすごく難しいと思いました。自分のことなのである程度わかるけれど、それが本当に正しい理解なのかどうかは、他者から見てもらわないとわからない部分がある。そのギャップを埋めるには、支援員さんなどに言っていただかないとわからないな、と感じました。」

スタッフからは「働くという面については私たちがその役を担っています」というフィードバックがありました。ディーキャリアでは、就職後も含めた継続的な支援を行っています。

また、自分の意見を伝えることへの不安感についても話し合われ、「チャットを活用して一度考えを整理してから伝える」という対処法が、実際に有効に機能しているケースも紹介されました。特性への対処は、一人ひとりに合った「自分だけの方法」を見つけていくことが大切です。

まとめ:「知ること」が働きやすさの土台になる

今回の訓練を通じて見えてきたのは、「自分の困りごとを言葉にできること」の大切さです。

1
自分の得意・苦手を理解する
情報処理の過程(受信・処理・送信)のどこに特性があるかを探る
2
他者に説明できるようにする
支援員や就職先の企業に、自分の特性と必要な配慮を伝えられる言葉を準備する
3
対処方法を実践・検証する
事業所の訓練の場で対処法を試し、自分に合ったものを見つける
4
周囲と協力しながら働きやすさをつくる
合理的配慮の依頼をしながら、自分らしく長く働ける環境をつくっていく

特性は「克服すべき欠点」ではありません。それを知り、言葉にし、周囲と共有する——その積み重ねが、安定した就労への道を開いていきます。

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