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先延ばし癖の原因と対策方法〜「やらなきゃ」が「できた」に変わるヒント〜

こんにちは、生活支援員の齋藤です。

「明日から本気出す」「締切ギリギリにならないと動けない」――そんな自分に悩んでいませんか?

「やる気はあるのに行動できない」というご相談を多くいただきます。先延ばし癖は、決して怠け癖ではありません。むしろ、真面目に考えすぎるからこそ起きる”脳の自己防衛反応”なのです。

今回は、先延ばし癖が起こる仕組みと、働く場面で実際に使える対策方法をご紹介します。

先延ばし癖の主な原因

① 完璧にやろうとしすぎている

例:メールの返信ひとつに1時間以上悩んでしまう

「正しい敬語を使わなきゃ」「間違えたら評価が下がるかも」と考えるほど、送信ボタンが押せなくなります。発達特性のある方の中には、こだわりの強さゆえに「完璧な文章」を目指してしまい、結果的に期限を過ぎてしまうケースもあります。

完璧を目指す姿勢は長所ですが、「60点でも出す」方が、結果的に信頼につながることも多いのです。


② タスクが大きすぎて、何から手をつけたらいいか分からない

例:「企画書を作成する」という指示を受けたとき

ADHDやASD傾向のある方は、特に「全体像が見えないタスク」に苦手意識を持ちやすい傾向があります。脳は「曖昧な指示」を処理するのに大きなエネルギーを使うため、無意識に回避してしまうのです。

「何をどの順番でやればいいか分からない」状態は、脳にとって大きなストレスです。


③ 失敗や評価への不安が強い

例:「また指摘されるかも」と思うと報告書が書けない

過去に叱責された経験や、周囲と比べて自分だけ遅いと感じた経験があると、脳は「行動=危険」と学習してしまいます。これは二次障害としての不安症状が背景にある場合もあります。

不安は自分を守るための反応ですが、過剰になると行動のブレーキになってしまいます。


④ 疲労やストレスで実行機能が低下している

例:夕方になると集中力が切れて、タスクが全く進まなくなる

発達特性のある方は、定型発達の方よりも日常生活で脳のエネルギーを多く消費する傾向があります。「やる気がない」のではなく、「実行機能(計画・判断・行動する力)が一時的にダウンしている」状態です。

これはサボりではなく、脳が回復を必要としているサインです。

就労場面で使える!先延ばし癖への対策方法

① 「完璧」ではなく「着手」を目標にする

✅ 具体例:メール返信の場合

  • ×「完璧な文章を書いてから送る」
  • ○「まず件名だけ入力する」→「挨拶文だけ書く」→「とりあえず下書き保存」

「5分タイマー作戦」:タイマーを5分セットして「その間だけやってみる」。終わったら続けても、やめてもOK。意外と5分過ぎても続けられることが多いです。


② タスクを「誰でもできるレベル」まで分解する

✅ 具体例:「報告書を作成する」を分解すると…

  1. パソコンを開く
  2. 報告書のフォルダを開く
  3. 新規ファイルを作成する
  4. タイトルを入力する
  5. 日付を入力する
  6. 見出しだけ書く(本文は後回し)
  7. 箇条書きで要点だけメモする

視覚優位の方には、付箋やホワイトボードで工程を見える化すると効果的です。チェックリストを作り、一つ終わるたびにチェックを入れると達成感が得られます。


③ 不安を「見える化」して対処可能にする

✅ 具体例:不安の書き出しシート

不安なこと本当に起こる?起きたらどうする?
ミスを指摘される可能性はある修正すればいい。メモを取る
期限に間に合わない今から始めれば間に合う難しければ早めに相談する
評価が下がる完璧でなくても提出した方が評価される

不安が強い方には、「最悪のシナリオ」と「現実的なシナリオ」を一緒に整理します。多くの場合、頭の中で想像している最悪の事態は実際には起こらないと気づけます。


④ 自分を責めず、小さな前進を認める

✅ 具体例:セルフコンパッション(自分への優しさ)の練習

  • ×「今日も何もできなかった。自分はダメだ」
  • ○「疲れていたから動けなかった。まずは休息が必要だったんだ」
  • ○「ファイルを開いただけでも、ゼロじゃない。明日また続ければいい」

「できたことリスト」を毎日記録する習慣をつけると、自己肯定感が育ちます。「メールを1通送った」「5分集中できた」など、どんなに小さくてもOKです。

環境調整も大切な対策です

先延ばし癖は、個人の努力だけでなく環境を整えることでも改善できます。

職場で活用できる合理的配慮の例:

  • タスクを細分化した指示書をもらう
  • 定期的な進捗確認の機会を設ける
  • 締切を「最終期限」と「中間チェック」に分ける
  • 集中しやすい時間帯に重要な業務を配置する
  • ノイズキャンセリングイヤホンなど、集中を助けるツールの使用

おわりに

先延ばし癖は、あなたが怠けているからではありません。

むしろ、「ちゃんとやりたい」と思うからこそ起きる現象です。発達特性のある方は特に、脳の特性上、実行機能や注意の切り替えに困難を抱えやすく、先延ばしが起きやすい傾向があります。

でも、仕組みが分かれば、対処法も見つかります。

  • 完璧を目指さず、まず着手する
  • タスクを小さく分ける
  • 不安を見える化する
  • 自分を責めず、できたことに目を向ける
  • 必要なら環境調整や配慮を求める

一歩が小さくても、その一歩は確実に前進です。

当事業所では、一人ひとりの特性に合わせた「行動しやすくなる仕組みづくり」をサポートしています。先延ばし癖で悩んでいる方、一緒に「できた」を増やしていきませんか?

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