2023年06月15日

発達障害🎛️実行機能

みなさん、こんにちは😉
ディーキャリアワーク柏スタジオです🙋

【はじめ】
発達障害の診断を受けている方で
「できるのにやらない」
「わかってるけど動けない」などが
原因で生活や働くに支障が出て困っているという、
ご相談を見学時に多く受けます🤔

それには脳の機能である
「実行機能」神経ネットワークである
「報酬系」という脳に備わる機能が関わっており、
発達障害の特性は特にこの「実行機能」を
上手く働かす事ができていないことが原因とされています💡
今回はこの「実行機能」とはどういったものなのか、
それに付随する「報酬系」と実行機能に関わる困り事を
どのように対処していくと良いのかを
お伝えしていきたいと思います！

【実行機能とは】
脳はそれぞれの部位により、
異なる機能が備わっています。
実行機能は前頭前野という部分で、
この実行機能は、
「目的やゴールに向かうに向かう為、頭の中の情報や、
外部的な要因を、比較検討しながら行動していく」際に
必要とされる機能です。

実行機能がどのようなものなのか理解するため、
例を挙げると、私たちは何か計画を立てるとき、
無意識ですが、さまざまな思考を巡らせています😶
例えば仕事で、「1か月後が期日の業務」を
上司から依頼された際には、
「依頼された業務が何かを認識する」
「納期までどのようなペースで業務をおこなうかを検討する」
「遂行しながらも同時に発生する不定期な業務や定期業務を想定する」
「過去の経験と比べたり、その際の事を振り返り今回の仕事に活かす」
「他に検討、考慮する事の漏れがないか確認する」
「自身が立てた計画をイメージできているか確認する」
「効果的/効率的なものになっているかを定点で観測していく」
上記のような、さまざまな情報を頭の中で比較検討し、
整理する為には、それ以外にも
「同時に記憶を保持」しておくことも必要になります👀

このように、実行機能は、「実行に移す事」や、
「思考」や「行動」をコントロールする機能に
影響を与えていており、実行機能が低下する事で、
「多動性」や「衝動性」「不注意」
が引き起こされるとされています🏃
それが、「やろうと思うけど行動に移せない」
「やる事を忘れてしまう」
「計画通りに進める事ができない、期日を守れない」などに繋がり、
困る事が多いようです😥
その為、働く際は業務遂行力、計画力に、
生活面では健康維持や対人関係にも関わってきます！

【発達障害と実行機能】
前述した通り、発達障害の方の特性には
実行機能の低下が関わっているとされ、
実行機能が低下する事で、
「多動性」や「衝動性」「不注意」が
引き起こされるとされているとお伝えしました。

この3つはADHDの特徴に当てはまりますが、
ASDのある方も、この実行機能の低下が原因とされています😧
この実行機能の低下は、発達障害以外でも
不安や抑うつでも現れるとされています。
もう１つ、実行機能には
「継次処理能力」と「同時処理能力」という、
2つの能力があり、継次処理能力は
「１つの作業ごとに順番に課題に取り組む能力」
同時処理能力は「複数の作業を並行し、取り組む能力」
になります💪

ADHDのある方は、特性上、
１つの事に注意を継続する事に苦手がある事が多い為、
「継次処理能力」が苦手な傾向があり、
ASDの方は特性上、切り替えが苦手なことが多い為、
「同時処理能力」が苦手な傾向があります。
ここまでは実行機能についての説明ですが、
ここからは実行機能と報酬系の
関係についてお話しします！

【実行機能と報酬系】
発達障害のADHD特性上、
自身の抑制が苦手で、
衝動的に行動してしまう特性も
良く耳にすると思います。
これらは、先ほどの実行機能の低下も関係していますが、
報酬系の機能からも影響を受けているとされています💰

報酬の機能が低下していると、そもそも報酬自体を
魅力的（取り組む意欲）と感じ方が少なくなる、
積み重ねて得る事のできる報酬（遅延報酬）に向け
とりくむ事ができず、目の前のすぐに手に入る報酬を求め、
衝動的に行動や報酬を得る事のできる手段が無い時には、
回避などの他の方法を選択してしまうことがあります💨

ASDのある方に関しても、
先の見通しを持つことが難しい（中枢性統合）
という特性から、遅延報酬を得た時の事をイメージできず、
ADHDのある方と同じく、
実行に移すことが難しかったり、
それをそもそもしない、
回避行動に繋がってしまうことがあります。
実行機能を高めていく事も大切ですが、
目的を達成した際に得る
報酬のために取り組もうとする意欲に関わる、
報酬系の機能も理解することが重要です！

【できるのにやらない、わかってるけど動けないへのヒント】
「実行機能を高める為、実行機能の役割を知る」
こちらのブログ以外でも詳細に実行機能について
紹介している書籍やサイトがありますので
それらの情報等を活用しさらに理解を深め、
自身に合ったアプローチをおこなうことが大切です✨
過去の利用者の方の中で
「取り組みにくいものは好きなものとセットでおこなう」
「取り組む前の工数をできるだけ少なくする」などを
おこなうことを対策としている方がいました。
後者は運動したいが、
行動できないという場合、
ジムに行くのではなく、
帰宅時に一駅前におりてウォーキングして帰るなど、
「ジムの服を用意する」
「ジムに向かう」
「着替える」
「帰る」などの
工数を減らすことで、取り組みやすくするという方法でした！

「ストレスを取り除く、ケアをする」
ストレスは前頭前野に影響を及ぼすことが
研究で分かってきました。
ストレスを受ける事で、
感情や衝動のコントロールが弱くなり、
逆に脳の部位でも古い脳領域が強まる事で、
不安や普段は抑え込んでいる
衝動的な行動が起きやすくなると言われています。
その為、ストレスケアが適切に行えるかどうかも
実行機能に影響があると考えられます。

出典：東邦大学「ストレスと脳」

「頭の中で整理しない」
発達障害の特性として頭の中で
複数の情報を引き出し比較検討する事（ワーキングメモリ）や、
全体像を把握する（中枢性統合）の苦手がある為、
何か計画を立てる、実行する際には書面やデータで全体像の把握、
情報の抜け漏れがないかを整理する事で
実行のイメージが持てるため良いです。
さらに定期的に見直す、
ガントチャート等を使用するなども有効です！

「周囲のサポートを受ける」
また周囲のサポートを受け、
一緒に計画を立てる、
一緒に実行する等の工夫も必要です😊
多角的な視点が入り、新たな発見もあるかもしれません。
目的は実行であり、
その為に誰かの助けを借りる事は誰しも時には必要になります。
その為、自身がサポートを求めるとき
どのように相手に伝えるかを考えておく必要があります！

「報酬を見えるよう可視化し振り返る習慣をつける」
自身が何のために取り組んでいるのかを
見えるように掲示してみる、
いつ報酬が手に入るかを明確にする、
数字を使って計測しやすくする、
定期的に振り返りを行う事で、
日常生活の中で、
報酬を意識する機会を増やし、
目の前の報酬や、
回避行動に繋がらないようにすることも必要です。
これはワーキングメモリに苦手がある方にも有効です！

「作業興奮を利用する」
人間の脳は、何もしていないと興奮しない性質があり、
何もしていない状態から「意欲」を出すこと自体が難しいとされています。
その為、とりあえず何かに取り組むことで脳に刺激が伝わり、
やっている間に「意欲」が出る事を「作業興奮」と言います。

「成功体験が積めるような課題にスモールステップで取り組む」

自身が主体的に物事を進め「できた」と実感できるような
取り組みを繰り返すことで、実行する気持ちは高まります。
ですので、意図的に成功体験を積む事が
できる取り組みや環境を作っていく事が、必要になります！
一方で、急に自身には難しい業務や、
対人コミュニケーションに取り組もうとすると、
取り組む意欲や失敗を恐れ回避する事で、
実行する事から遠ざかってしまいますので、
職場の担当者や就労移行支援事業所などで
自身と他者を含め取り組んでいく事が大切になります😃

【最後に】
見学、相談で来所される方で多くいらっしゃるのが、
他者と自分を比べ卑下してしまう、
他者の肯定的な評価を受け入れられない、
自信が無い、長所は言えないが、
短所ならたくさん言えるという方です。
そういった話を聞くと、
今までたくさんの困り事を
一人で解決しようと悩まれていたのかなと感じます😔
できない事、苦手なことは一度分析し、
どうすればできるのか考える必要がありますが、
人間は上手く行っている時は、
自分の苦手は後回しになりがちです。
ディーキャリアワーク柏スタジオでは、
座学訓練/作業訓練を通して、
その方の困り事を一緒に分析し、
課題の設定を行い、
スモールステップで成功できるよう支援をしています！
ご自身の「できる」実感や
「どうすればできるのか」を
身につけていただき、
社会に出る事でその方の思い描く人生に向かって
進んで行ってほしいと思います✨