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「見えない脳」と「成功者との比較」が生まむ発達障害の複雑さを思う当事者の私

見えない「脳」と、見えすぎる「成功事例」のギャップ

ディーキャリアITエキスパート立川オフィスのピアスタッフ、発達障害当事者かまちです。

発達特性によるの生きづらさについて、周囲に理解を求めることの難しさを感じたことはありませんか?

その最大の理由の一つは、「人から自分の脳は見えないから」です。過去、私は、怪我や病気のように目に見える苦痛ではないため、「気の持ちよう」「努力不足」と誤解されがちでした。

さらに近年、著名な文化人や専門家などが「私も発達障害(発達特性)を持っている」とカミングアウトする事例が増えています。彼らは、一般的に「苦手」とされる特性を「個性」や「長所」として捉え、それぞれの分野で輝きを放っているように見えます。

しかし、その成功事例を見て、「あの人は、同じ発達障害なのに、なんで自分は?」と疑問を持たれたことはありませんか?

この記事では、この「見えない生きづらさ」と「成功者との比較」という二つの側面から、特性を「個性」として捉えることの難しさを分析します。

1. 発達特性の「生きづらさ」が伝わりにくい理由

発達障害の特性が外部から理解されにくいのは、主に以下の二つの要因によります。

① 「脳」という見えない器官の問題

発達特性は、脳機能の特性(情報処理や実行機能の偏り)に起因します。

  • 課題: 身体的な痛み(骨折や発熱)と異なり、他人が客観的に確認することができません。そのため、遅刻やケアレスミスが特性による困難ではなく、「本人の意図的な怠慢」だと誤解されやすいのです。
  • 結果: 「頑張ればできるはず」「気持ちが弱いからだ」といった精神論で片付けられ、特性に対する合理的配慮を求めるのが難しくなります。

② 認知の凸凹は「努力」で均せない

例えば、過去には「東大生の四人に一人が自閉症スペクトラム疑いアリ」というSNSでの情報が話題になったように、特定の分野での知的好奇心や集中力の高さといった特性は、素晴らしい長所となり得ます。

しかし、長所があるからといって、短所(実行機能の課題、社会性の困難など)が打ち消されるわけではありません。特性の「凸(長所)」と「凹(短所)」はセットであり、「凹」の部分の困難さは、本人の努力では簡単に埋められない構造的な問題なのです。

2. 成功者との比較が生まむ新たな生きづらさ

有名人や高学歴者など、成功している人のカミングアウトは勇気を与えますが、同時に私たちに新たな苦痛を与えます。

【参考】発達特性を公表している著名人(一例)

分野日本の有名人海外の有名人
俳優・モデル栗原類(ADHD)トム・クルーズ(ASDの特性)
ジム・キャリー(ASDの特性)
音楽家米津玄師(ASD)ジャスティン・ビーバー(ADHD)
Fukase(SEKAI NO OWARI、ADHD)
お笑い・タレントエハラマサヒロ(ASD/ADHD)
ミッツ・マングローブ(SLD傾向)
黒柳徹子(ADHD/ASD/SLD傾向)
小島慶子(ADHD)
経済・専門家勝間和代(ADHD)イーロン・マスク(ASD)
その他沖田×華(ASD/ADHD/SLD)マイケル・フェルプス(ADHD)

① 成功事例の「情報量」が比較を生む

まず理解すべきは、上記のような成功した著名人が発信する情報量(メディア露出、書籍、SNSなど)は、個人の情報量よりも圧倒的に多いということです。

あ、有名人っていいな」と思っていませんか?何も根拠はありませんが、相手の良いところだけが見えていて、苦しいところもあるかもしれません。私たちは、膨大に流れてくるポジティブな成功事例ばかりを無意識に目にし、自分の抱える困難な現状と比べてしまいがちです。

② 「個性」として捉えることのプレッシャー

メディアで紹介される成功者は、特性を「個性」「強み」として捉え、困難を乗り越えたストーリーを語ります。

  • 問題: これが、特性を持つすべての人にとって「特性は乗り越えるべきもの、強みに変えるべきもの」という過度なプレッシャーにつながることがあります。
  • ジレンマ: 困難に直面しているとき、「自分の努力が足りないから個性として活かせないんだ」と、自己肯定感をさらに下げる結果になりかねません。

③ 成功は「環境×特性」の結果である

一部の著名人が成功しているのは、彼らの特性が優れているからだけではありません。

  • 成功の要因: 彼らは、「自分の特性が活きる特定の環境」(例えば、高度な集中力が活きる研究職や、特定のルールが必要ない自由な創作活動など)を見つけるか、作り出すことに成功しています。
  • 私たちの課題: 成功事例と比較するのではなく、「自分にとって最も生きづらさが少ない環境は何か?」「自分の特性を助けてくれるツールやサポートは何か?」という、現実的な環境調整に焦点を当てる必要があります。

3. 特性を「個性」として簡単に片づけてはいけない理由

特性を「個性」や「長所」と捉えるのは理想的ですが、その前に「生きづらさ」を認め、配慮を求めることが先決です。特性による困難を「個性」というポジティブな言葉で簡単に片づけてしまうと、具体的な解決策を見失う危険性があります。

① まずは「障害」として配慮を求める

特性を「個性」として捉えることは、困難さへの対策や配慮を求めない姿勢につながる危険性があります。

  • 優先事項: 特性によって日常生活や就労に支障が出ている場合、まずはそれを「障害」や「困難」として正確に認識し、医療機関や支援機関、職場に対して適切な合理的配慮を求める権利を行使することが重要です。

② 「個性」は「困難」を克服した後でついてくる

特性がポジティブな「個性」として機能するのは、その特性によって生じる困難を、外部のサポートや環境調整によって最小限に抑えられた状態になって初めて実現します。

  • かまちの視点: 焦って自分の困難を「個性」だと自己暗示する必要はありません。「困っている部分」を手立てで解消を目指して企業で働く際はどうしても配慮が必要なことは相談して、戦力になるようにしていくことが大切です。心のエネルギーが回復した後に、残ったポジティブな部分を「個性」として活用する順番が大切です。

見えない困難は、言葉と手立てで「見える化」する

私たちが見えない脳の困難を抱えていても、それを言葉にし、具体的な手立てと配慮を求めることで、周囲に「見える化」することは可能です。

成功者との比較は一旦手放し、ご自身の現在の**「凹」の部分**に寄り添い、ディーキャリアのような支援機関で「自分にとっての最適な環境」を見つけることにエネルギーを使いましょう。

ちなみに、私かまち自身、特別な才能があるわけではありません。唯一、パソコン操作が得意という程度です。 それでも、特性を理解し、環境を調整すれば、自分らしく働く道は見つかります。

それが、生きづらさと上手く付き合い方を学び、少しでも「呼吸がしやすくなる」ための最も確実な道です。どんな呼吸のしやすさかは、その人でちがいます。

ディーキャリアITエキスパート立川オフィスでは、特性の客観的な分析、環境調整の手立て、そして合理的配慮を求めるためのコミュニケーションの練習を提供しています。生きづらさを「見えないもの」で終わらせないために、ぜひご相談ください。

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■この記事を書いた人は?■

ディーキャリアITエキスパート立川・所沢オフィス編集部

普段は、ディーキャリアITエキスパート立川オフィス、所沢オフィスでそれぞれ支援員として勤務。
主にオフィスの日常やイベント情報、発達障害、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、限局性学習障害(SLD)、精神障害、特性への工夫、障害者雇用、セルフケア、ライフハック、日々の支援員の気づきなど、さまざまな情報を発信しています。
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