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職場でのトラブル、どう防ぐ?対人スキルを磨いて障害者雇用の6つの事例から学ぼう
働く場所での人間関係に悩みを抱える方は多いですが、障害のある方と一緒に働く場合は特に対人スキルが重要になります。今回は、実際に障害者雇用の現場で起こった6つのトラブルケースを紹介しながら、職場トラブルの防止に役立つ対人スキルのポイントを解説します。

ケース1:コミュニケーションの困難と孤立(自閉症スペクトラム障害・25歳女性)
このケースのAさんは経理部で数字の扱いは得意ですが、雑談や冗談が理解できず会話に入れません。曖昧な指示があっても聞き返せず、孤立感が強まり出勤に不安を感じていました。
【解決策】
- 明確な指示を文書化するなど、わかりやすい伝え方を徹底
- 雑談や冗談の理解が難しいため、会話の内容を具体的に補足
- 少人数や個別のコミュニケーション機会を増やして安心感を高める
- 仕事の不安や困りごとを話せる相談窓口の設置
ケース2:業務遂行の困難と周囲の負担(精神障害・30代男性)
Bさんは忙しい時期に欠勤しがちで、同僚の負担が増えています。感謝の言葉がなく協力的でない態度もあり、同僚の不満が募っています。
【解決策】
- 欠勤の原因となる体調管理やメンタルケアの強化
- 勤務調整や業務分担を柔軟に行い同僚の負担軽減
- 感謝の気持ちを伝えるトレーニングや声かけの習慣づくり
- 協力的な職場環境づくり・チームビルディングの推進
ケース3:生活態度の乱れと注意の難しさ(聴覚障害・精神障害併せ持つ20代男性)
Cさんは遅刻や聞こえないふりをするなど生活態度に問題があります。上司は強く注意できず、問題が放置されたままです。
【解決策】
- 遅刻や返事をしないなどの問題は本人の理解度や動機の確認
- 障害特性に応じた支援計画を作成し、指導方法を工夫
- 強く注意することが難しい場合は第三者を交えたフォローやルール設定
- 社内の理解啓発を進め、周囲も支援責任を共有
ケース4:指示理解の困難と業務遂行の問題(ASD・28歳男性プログラマー)
Dさんは曖昧な指示を理解できず、成果物が期待と違うことが多いです。優先順位付けが苦手で締め切りにも遅れが生じています。
【解決策】
- 曖昧な口頭指示を避け、書面やチェックリストで具体化
- タスクの優先順位やスケジュール管理を支援するアプリやツール導入
- 変化が多い環境に対応できるように段階的な情報提供を徹底
- ストレスサインの早期発見とメンタルケアの強化
ケース5:コミュニケーションの困難と人間関係トラブル(ADHD・32歳女性営業)
Eさんは会議中に話が脱線しやすく、顧客と誤解が生じることもあります。情報伝達の漏れや感情コントロールの困難も課題です。
【解決策】
- 会議や打ち合わせでの発言ルールや時間管理を設定
- 顧客とのコミュニケーションサポート(同行やフィードバック)
- 必要な情報を整理し漏れなく共有できる仕組みづくり
- 感情コントロールのためのセルフマネジメント支援
ケース6:体調の波による業務への影響と周囲の負担(双極性障害・35歳男性経理)
Fさんは気分のアップダウンで業務にムラが出ます。欠勤もあり、部門全体に影響し同僚の不満が増えています。
【解決策】
- 体調の波に配慮した勤務スケジュールの調整
- 欠勤時のフォロー体制や代替業務の明確化
- 定期的な体調チェックとメンタルヘルスケアの実施
- 上司が業務内容の調整や進捗管理しやすいよう業務分担を工夫
当オフィスでは、こうした実際のトラブル事例に基づき、対処法を具体的に考えながら訓練を行い、利用者の方が安心して就労に臨めるようしっかりと準備しています。日々の支援の中で対人スキルを磨き、職場でスムーズに働く力を身につけていただくことを目指しています。
職場トラブルを防ぐ対人スキルとは?
・明確で具体的なコミュニケーションを心がける
・相手の状況や特性を理解し共感する姿勢を持つ
・感謝や協力の意を言葉や態度で表現する
・問題は放置せず、チームで共有し早期に解決を目指す

対人スキルを職場で磨くには
・実際のケースを使ったロールプレイやディスカッション
・定期的なフィードバックや面談でお互いの理解を深める
・コミュニケーションのルールづくり
・ストレスや感情のコントロールを支援する取り組みも必要

まとめ
障害者雇用の現場では、支援者も職場の仲間も互いの理解と対人スキルを磨くことがトラブル防止の鍵です。紹介した6つの事例を通じて、コミュニケーションの工夫や問題の早期発見・解決を意識してみてください。職場全体で安心して働ける環境づくりに役立つでしょう。


