【発達障害】メタ認知(客観視)が苦手な理由と対処法
こんにちは。ディーキャリア府中オフィスの支援員・宗形です。
日々発達障害がある方の就職支援をおこなっている中で、自分のことを客観的に見ることって難しいんだなと感じています。私自身も、忙しかったりメンタルがローに入っていたりすると、自分を客観視することが難しくなっていきます。でも、自分を客観的に見るスキルは、仕事をする上ではある程度持っておかないとトラブルにつながりかねません。
今回は、発達障害の特性と客観視の難しさについて書いてみたいと思います。
目次
1.発達障害の特性とメタ認知の関係性
1-1.メタ認知ってなあに?
平たく言うと、「自分の心の状態を自分自身で観察したり修正したりする認知活動のこと」です。
メタ認知をする時のイメージは、自分の頭の斜め上にもうひとりの「自分(自分2と名付けます)」がいる。その「自分2」が「自分1」のことを見て、「あー私は今こんな気持ちなんだなー、もっとこう考えることもできるのに」「こんな感情ならこうしたらうまくいきそう」と感想を漏らす…。こんな感じなんじゃないかなと私自身は解釈しています。(自分自分、ややこしいですね…)
自分の気持ちや思考を想像できないと自分の心がやられてしまいますし、例えば仕事の面でも振り返りが難しくなったりします。メタ認知をすることで自分の心をコントロールできるようにして、穏やかに生活をしたり、安定して働き続けたりすることは大切なことなんです。
1-2.発達障害の特性があるとメタ認知が苦手
大人の発達障害の特性とメタ認知はすこぶる相性が悪いです。
特に、ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性は、発達障害の中でもメタ認知の苦手につながりやすいです。
ASD(自閉症スペクトラム障害)の研究の中では、相手や他人の立場に立って考える能力のことを「心の理論」と呼んでいます。この能力をはかるための有名なテストのひとつが、「サリーとアン課題」です。
少しやってみましょう。
同じ部屋でサリーとアンの2人が遊んでいる.
発達障害のある労働者の安全衛生教育を行う前に産業安全衛生技術職が
サリーがビー玉をバスケットに入れた後,その部屋から出て行く.
サリーが不在の間にアンがビー玉を小箱に入れ換える.
そして,サリーが部屋に戻ってきた時に,サリーはビー玉を見つけるためにどこを探すか
知っておくべき特性
答えは、「バスケット」です。
ASD(自閉症スペクトラム障害)があり、心の理論の獲得が十分でないと、「小箱」と答える確率が高くなります。「バスケット」と答える人は、サリーの立場に自分を置き換えて答えを考えていますが、「小箱」と答える人は、「自分(回答者)が、ビー玉が小箱に入っていることを知っている」と考えている傾向が強く、この場合、心の理論の獲得に難しさがあると言われています。
この心の理論の獲得とメタ認知の関係性については、こんな風に言われています。
自身の心的状態を把握する能力であるメタ認知が,他者の心的状態の推測をあらわす心の理論と同じ
自閉スペクトラム症傾向が高い専門学校生への
メタ表象メカニズムに依存している
メタ認知トレーニングの予備的検討
つまり、自分の気持ちを知ることも、他の人の心を推し量ることも、心の理論の獲得が難しいASD(自閉症スペクトラム障害)がある人にとってはとても難しいということです。
ここまでの話をまとめると、ASD(自閉症スペクトラム障害)がある人に共通して見られる特徴として、「自分の心や他者の心の状態を捉えることが難しい」ということが挙げられます。
この基本的な脳の特性に加えて、こだわりが大きくて自分を振り返る機会を持ちづらかったり、ADHDの特性である不注意が作用してメタ認知を継続することが難しくなったりすることも、発達障害のある人がメタ認知することが難しいと考えられる理由のひとつです。
2.メタ認知が苦手な人ができるトレーニング法!
メタ認知することが難しいと、人間関係や仕事でストレスが溜まってメンタルヘルスに影響が出る可能性があります。メタ認知を鍛えるためには、複数の視点を持てるようになることが大切です。ここでは、複数の視点を持つためにできるトレーニングをご紹介します。メタ認知能力を向上させて日常生活を改善するために、ぜひ取り組んでみてくださいね!
2‐1.「本当にそうなのか?」という視点を持つ
答えのないあるひとつの疑問に対して、できる限り複数の答えを出してみます。
そうすることで、いろいろな角度から考える視点を鍛えることにつながります。
少しやってみましょう!
- 昔のことを思い出すと感傷的になるのはどうして?
この疑問に対して、できる限りたくさんの答えを書き出してみます。まずは5個を目指しましょう。
…いかがでしょうか?どんな理由が思い浮かびましたか?
私は、
- もう戻れないと思うから
- 昔夢見ていたことを叶えられていないから
- セピア色に見えるから
- 昔の失敗を思い出してやるせなくなるから
- 当時聴いていた音楽を思い出して感動するから
こんな感じでした。5つすらすら出てきた人はすごいです。私と同じでなかなか出てこなかった人は、思いつくためにいろんな角度から考えてみたのではないでしょうか。例えば、「あの人だったらどう考えるかな?」「面白おかしく考えたらどうだろう」など。多角的に考える練習になりますね!
2‐2.「なぜなぜ」で考えてみる
ある課題に対して、今度は「なぜなぜ」で掘り下げてみます。
これも、ひとつの考えにとらわれることなくいろいろな角度から物事をとらえるようになるためのトレーニングになります。こちらもやってみましょう!課題は先ほどと同じです。
- 昔のことを思い出すと感傷的になるのはどうして?
この疑問に対して、なぜなぜで掘り下げていきましょう!
例えば、
- 昔のことを思い出すと感傷的になるのはどうして?
→もう戻れないと思うから
→どうしてもう戻れないと思うの?
→年齢をさかのぼることはできないから
→どうして年齢をさかのぼることはできないの?…
こんな風に「なぜ」「どうして」をつなげていきます。
…いかがでしょうか?みなさんはいくつ掘り下げられましたか?これも掘り下げる時にいつもと違う頭の使い方をしたのではないでしょうか。また、掘り下げているうちにとんでもない方向に答えが行ってしまうことがあります。「神様が決めたから」など。笑
いつもとは違う考え方をしてみる練習なので、大丈夫です。考えるのが辛くなってきたら、途中に戻って別の角度から掘り下げを再開してみましょう。自分の考えに疑問を持つクセがつくまで、ちょっと大変ですがトレーニングを重ねていきましょう!
3.まとめ
最期になりましたが、発達障害がある人の特性はメタ認知と相性が良くないものです。でも、多角的に考える練習をしたり、ひとつのことを何層にもわたって掘り下げる練習をすることで、少しずつ自分の考えに疑問を持ったり自分のことを多角的に見れるようになってくるはずです。
そして、メタ認知の目的は、自分のことを多角的に見れるようになることで「この言葉は良かったのかな?」「この計画で突き進んで大丈夫だろうか…」など、自分で自分の言動を振り返って改善しいてくことにあります。その結果、効率的に仕事を進められたり、円滑なコミュニケーションができるようになったりするメリットを感じられる可能性があります。
今回ご紹介した方法を試して、ぜひいろんな角度から自分の認知を捉えられるようにトレーニングしてみてくださいね(*^^*)
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