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職場における「カサンドラ症候群」とは?——ASD特性を理解し、共に働くために

1. カサンドラ症候群とは?

カサンドラ症候群とは、主に自閉スペクトラム障害(ASD)などの発達特性を持つ人と長く関わることで、周囲の人が精神的な不調をきたす状態を指します。もともとはパートナーや家族関係で語られることが多い概念ですが、実は職場でも同様の状況が生じることがあります。

ASDの特性を持つ方の中には、

  • 共感力が低い、感情表現が乏しい(相手の気持ちを察しにくい)
  • 強いこだわりを持ち、柔軟な対応が苦手(独自のルールや価値観を重視する)
  • コミュニケーションの齟齬が多い(業務の指示が伝わりにくい、報連相が少ない)

といった特徴があり、それが職場の同僚や上司にとって強いストレスの要因となる場合があります。しかし、当事者が意図的に周囲を困らせているわけではなく、発達特性によるものです。そのため、まずはASDの特性を理解し、適切な対応策を講じることが重要となります。

2. 職場で起こりうる困りごと

職場において、ASDの特性を持つ社員との関わりの中で、以下のような困難を感じるケースが報告されています。

(1) 業務上のやりとりがスムーズにいかない

  • 指示を出しても、意図した通りに伝わらず、業務にズレが生じる
  • 必要最低限の報告しかしないため、進捗状況が見えにくい

(2) ビジネスマナーの理解が乏しく、不適切な発言や行動がある

  • 場の空気を読まず、ストレートすぎる物言いをしてしまう
  • 上司や顧客に対しても遠慮のない発言をする

(3) こだわりが強く、柔軟な対応が難しい

  • 業務手順や方法を自分なりに決めており、指示を受け入れにくい
  • ルーチン業務以外の急な依頼や変更に強いストレスを感じる

このような特性により、共に働く同僚や上司が強い精神的なストレスを受けることがあります。さらに、周囲に相談しても**「相手は悪気がない」「単に性格の問題では?」と理解してもらえないことが多く、その結果として強い孤独感や抑うつ、不安症状を引き起こす**ケースが少なくありません。

3. 企業側が取るべき対応策

(1) ASDの特性を理解する

カサンドラ症候群を防ぐには、まず**「なぜASDの社員がそのような言動をするのか」を知ること**が重要です。単なる性格の問題ではなく、脳の情報処理の特性によるものであると理解することで、適切な対応が可能になります。

(2) 具体的な対応方法を取り入れる

  • 明確で具体的な指示を出す(抽象的な指示を避け、「〇〇を△△までに提出してください」など明確に伝える)
  • 業務のルールや進め方をマニュアル化する(一貫したルールを設定し、変則的な対応を減らす)
  • メールやチャットを活用し、口頭だけでなく文章でも指示を残す(相手が確認しやすい形で伝える)
  • 対話の時間を設ける(一方的な指摘ではなく、相手の意図も確認する)

(3) 物理的な環境調整をおこなう

場合によっては、カサンドラ症候群のリスクが高い社員とASDの特性を持つ社員を物理的に距離を取ることも有効です。例えば、座席配置やチーム編成を工夫し、双方がストレスを感じにくい環境を整えることが考えられます。

4. カサンドラ症候群になりやすいタイプと相談先

カサンドラ症候群になりやすいのは、共感性が高く、人間関係を重視するタイプの人です。特に生物学的に共感力が高いとされる女性が影響を受けやすいとされています。

精神的な影響と病名

カサンドラ症候群により、以下のような症状が現れることがあります。

  • 抑うつ(うつ病)
  • 不安障害
  • 自律神経失調症
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)

このような症状が見られる場合は、職場の産業医やメンタルヘルス相談窓口、カウンセリングサービスを活用することが推奨されます。

相談先

  • 社内のメンタルヘルス相談窓口(ある場合)
  • 産業医・EAP(従業員支援プログラム)
  • 精神科・心療内科の専門医
  • カサンドラ症候群の自助グループや相談支援機関(オンラインでも相談可能な機関あり)

5. まとめ——「理解」がストレス軽減の第一歩

カサンドラ症候群は、ASDの特性を持つ人と関わる中で生じるストレスが原因となるため、企業側としては**「発達特性を理解すること」**が最も重要です。

  • ASDの特性を理解し、適切な接し方を学ぶ
  • 業務上のルールや指示の伝え方を工夫する
  • 必要に応じて、チームの配置や働き方を調整する
  • ストレスを感じている社員に適切な相談窓口を案内する

発達障害のある社員と共に働くためには、一方的に「理解を求める」のではなく、双方が歩み寄ることが大切です。企業として適切な支援をおこなうことで、社員全体のストレスを軽減し、より良い職場環境を築くことができるでしょう。

【執筆者】井上 高宏
ディーキャリア海老名オフィス 管理者
【監修者】井上 高宏
ディーキャリア海老名オフィス
サービス管理責任者/精神保健福祉士

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