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これって病気?嫌な思い出を突然思い出す|発達障害との関連性や対処法

更新日:2022年12月5日

このコラムでは、嫌な思い出を突然思い出してしまうフラッシュバックとは何か?PTSDやフラッシュバックになるメカニズム、発達障害とフラッシュバックの関連性、また、対処方法などを解説していきます。

・仕事中、失敗したことを突然思い出し、集中できなくなることがある
・嫌や記憶や思い出で頭の中がいっぱいになることがある
・フラッシュバックをコントールする方法はないのか?と悩んでいる

などでお悩みの方の参考になればと思います。

この記事は5分~10分でお読みいただけます。

ディーキャリア海老名オフィス】職場定着率100%(2021年)
発達・精神障害の特性に応じたプログラムを提供する就労移行支援事業所です。
発達障害(ADHD/注意欠如多動性障害)(ASD/自閉症スペクトラム障害)(SLD/限局性学習障害)のある方、精神障害(うつ病など)のある方が多く利用されています。
【発達障害フレンドリーサポート施設】にも認定され、専門スタッフがサポートをおこなっています。

目次

嫌な思い出を突然思い出す~フラッシュバックとは?~
PTSD、フラッシュバックになるメカニズム
発達障害とフラッシュバックの関連性
PTSDの対策
PTSDでフラッシュバックを伴う場合の対策
まとめ

①嫌な思い出を突然思い出す~フラッシュバックとは?~

フラッシュバックを説明するにあたり、まずPTSDについて説明します。PTSD(Post Traumatic Stress Disorder)とは心的外傷後ストレス障害といい、過去の経験で大きなショック(トラウマ)を受けていて、それと類似した出来事が起こったり、過去のショックを受けた経験を思い出した時に不安や緊張が高まったり、現実感が無くなって恐怖にさいなまれる状態になることを言います。

フラッシュバックはPTSDの原因となる過去のショックな出来事が、突然、鮮明に蘇り、その時の心身状態に陥る事を言います。すなわち、PTSDの症状の一つがフラッシュバックであると言えます。

特にASDのある方でどうしようもない出来事が起こった時に深く考えて、それでも、どうしようもできないという状態になり、解決しないままになったり、自己存在に関する不安感や、人間形成するうえでの基盤の脆弱さがあるため、自分の精神にダメージを受けてPTSDとなり、酷い場合にフラッシュバックが起こりやすくなったりします。

②PTSD、フラッシュバックになるメカニズム

PTSDの人を見ると脳の側頭葉の内側にある不安などの感情をつかさどる偏桃体が活性化していて、脳の中心にある感覚の記憶を司る海馬という器官がダメージを受けているのが見られます。

偏桃体と海馬は隣接している場所に位置していて、偏桃体が不安などの感情を海馬に伝えています。偏桃体が活性化されて抑制が効かないと、海馬にその感情が大きくなだれ込み、長期記憶として保存され、トラウマになりPTSDとなります。

その記憶された情報と似たような出来事や情報が起こると、当時の記憶が突然思い出されて、身体反応として現れフラッシュバックを引き起こしたりします。
つまり、偏桃体が活性化している人はPTSDになりやすく、フラッシュバックになりやすいといえます。

③発達障害とフラッシュバックの関連性

結論からお伝えすると、発達障害とフラッシュバックの関連については医学的にハッキリと関連性が解明されていません。
しかし、発達障害の特性、周囲を取り巻く環境などを考慮すると以下の仮説を立てることができます

Ⅰ.得意、不得意の差が大きい

発達障害のある方は、得意なこと、苦手なことの差が大きいことが特徴です。言い換えると、できること、できないことの差が非常に大きいということです。

これは、幼少期からのさまざまな経験に影響を与えると考えられます。

・手を抜いている、サボっていると誤解される
・変わっていると言われる
・周囲の人にうまく馴染めない

ざっくりですが、上記のような困り事を抱えている方が多くいらっしゃいます。また、

・いじめに遭った経験
・周囲からの叱責
・学業や仕事、その他の活動で失敗体験が多い

などの経験が多い傾向があります。結果として、他人が怖くなったり、他人に相談することが困難になるなどして1人で抱え込んでしまう。どんどん他人の目や言動、失敗することへの恐怖が大きくなり、
周囲からすると、「そんなことで」という事柄でも、本人にとっては大きな出来事になりやすい可能性があります。

Ⅱ.感覚過敏

また、感覚過敏がある方も珍しくありません。ちょっとした環境変化でも本人にとっては影響が大きいなど、疲れやすい、ストレスを抱えやすいなどの傾向もあります。なので、ある事柄に対しても、周囲が想像するよりも過敏に受け取り、本人の中に大きく残っている可能性があります。

Ⅲ.家族間でのトラブル

さまざまな研究がされていますが、発達障害は遺伝する可能性があると言われています。
具体的にお話しすると、当事者の場合、その父、母、もしくは兄弟、祖父母などに発達障害のある方がいる可能性があると言えます。
互いに上記の①や②の影響を受けるなど、双方コミュニケーションがうまくいかないストレス
などで叱責という行動に繋がりやすい可能性があります。

上記を勘案すると、定型発達のある方と比較した時には、PTSDやフラッシュバックなどに繋がりやすいと言えるのではないでしょうか。

④PTSDの対策

PTSDで強いストレスを感じたり、恐怖を感じる状態になるので悪いものかと思いがちですがPTSDは悪いことではありません。実は心的外傷後成長という言葉があります。 

それはそのPTSDの原因となったトラウマを乗り越えることで心が成長するというものです。人は嫌なことがあったり、不都合なことがあったらそこに捕らわれて動けなくなるだけの人ばかりでなく、それを乗り越えていこうとする人もいました。

つまり、トラウマの経験は乗り越えるためにあるものと言えます。なぜ、トラウマがPTSDになるのかと言えば「そのトラウマに対して自分が何もわからず、何もできないと結論付けてしまっている」それがPTSDの症状を発現させていると言えます。

まず、PTSDの一般的な対処を解説していき、その後、フラッシュバックを伴うPTSDの対処についてお話しします。

Ⅰ.意味付け、結論付けをおこなう

これが一番オーソドックスな解決策です。

「トラウマの出来事を自分自身がどのように扱っていいかがわからない不明瞭なものから、どういうものか理解し、どういう風に扱えばよいかわかる明確な物へと変える」

という事をすると、その記憶を思い起こしたり、フラッシュバックが起こった時もすぐ、

「これはこういうものだ。こういう風に対応すればよい」

と思考が働き、不安や緊張のエネルギーを適切に使うことができるようになります。
これこそが、心的外傷後成長にもなります。

Ⅱ.トラウマの内容を書いてみる

頭の中にあると、その内容を客観的に見れないままですが、紙に書きだすことで客観的にトラウマの内容を分析できるようになります。
さらに、紙に書きだすことで心のモヤモヤを吐き出すことにもなりますし、書くだけでも心のケアになります。
この方法は嫌なことがあった場合でも、すぐ、文章にして書き出すことで、ストレス発散になります。

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⑤PTSDでフラッシュバックを伴う場合の対策

Ⅰ.医療、カウンセリング

実際にPTSDでフラッシュバックとなり、自分ではどうしようもない場合は医療に頼ることをしてみるといいでしょう。
抗不安薬、SSRIなどの薬の服薬。カウンセラーによるカウンセリングを受けることで改善されていく事例はたくさんあります。医療だからできる有効な方法もあり、

・不安の原因になる刺激に段階的に触れることで、不安を消していく暴露療法

・催眠術を使い深層心理にアプローチする催眠療法

・左背外側前頭前野への高頻度刺激、または右背外側前頭前野への低頻度刺激を与えて改善させていくTMS治療

・トラウマなどの状態を思い出した時、目が動かなくなるところを、眼球を動かすことによって改善させていく眼球運動脱感作療法

などがあります。

⑥まとめ

このコラムではフラッシュバックとは何か?PTSDやフラッシュバックになるメカニズム、発達障害とフラッシュバックの関連性、また、対処方法などを解説してきました。

・仕事中、失敗したことを突然思い出し、集中できなくなる
・嫌や記憶や思い出で頭の中がいっぱいになることがある
・フラッシュバックをコントールする方法はないの?

などでお悩みの方、フラッシュバックを伴い生活や仕事に支障が出ている場合などは、心療内科など医療に頼ってみることを検討してみてください。

ディーキャリア海老名オフィスでは、発達障害や精神障害などを抱えながら、どうすれば就職できるのか分からないなどのご相談や、実際に利用されている方も多くいらしゃいます。また、診断が出ていなかったり、障害者手帳がなくてもご相談いただくことはできます。1人で抱えず、気軽に困り事などご相談ください。

【執筆者】小野貴弘
ディーキャリア海老名オフィス 生活支援員
保有資格:発達障害学習支援エキスパートサポーター
「成長」と「気付き」を促す支援をモットーに日々サポートしております。

【監修者】井上高宏
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