発達障害で疲れやすいときの休み方|「何もしない」より先に整えたいこと
発達障害のある利用者さんから、「疲れやすいときは、どんな休み方をすれば少し楽になるのか」と相談を受けることがあります。休みの日に寝ているのに疲れが取れない、仕事から帰ると何もできなくなる、という話です。
疲れたら休む。言葉にすると単純です。
ただ、実際には「どう休めば回復するのか」が分からず、スマホを見続けて休日が終わったり、予定を詰め込みすぎて余計に疲れたりすることもあります。
発達障害のある方にとって、疲れやすさは体力だけの問題とは限りません。人とのやりとり、感覚的な刺激、予定変更、複数の作業を切り替えることなど、日常の中で情報処理にエネルギーを使っている場合があります。
今回は、発達障害で疲れやすいと感じる方に向けて、休み方を考えるときの視点を整理します。
休んだのに疲れが残るのは、休み方が悪いからではない
休みの日に寝て過ごしたのに、月曜日になるとまたしんどい。
そんなとき、「自分は休むのも下手なのではないか」と思うことがあるかもしれません。
しかし、休んでも疲れが残る理由は一つではありません。
たとえば、平日に人との会話や周囲への気配りで消耗している人と、音や光などの刺激で消耗している人では、必要な休み方も違います。
単純に睡眠時間を増やせばよい場合もありますが、それだけでは回復しにくいこともあります。
大切なのは、「自分は何に疲れているのか」を少し分けて考えることです。
発達障害で疲れやすいときの休み方を、疲れの種類から考える
疲れを一括りにすると、対処が難しくなります。
まずは、自分の疲れがどこから来ているのかを考えてみます。
情報が多すぎて疲れている
仕事の連絡、SNS、動画、ニュース、家事の段取り。
スマホを見ているだけでも、脳はずっと情報を処理しています。
情報量で疲れているときは、「好きな動画を延々と見る」よりも、画面から少し離れる方が回復につながることがあります。
静かな場所でぼんやりする、散歩をする、目を閉じる。こうした時間は、何もしていないように見えても、情報入力を減らす休み方になります。
人と関わり続けて疲れている
仕事中に会話が多い、人の表情や声色を気にする、周囲に合わせようとする。
こうしたことが続くと、一人になる時間が必要になる場合があります。
このときは、「せっかくの休みだから誰かと会わなければ」と無理に予定を入れなくてもよいと思います。
人と会うことが楽しい人もいますが、一人で過ごすことで回復する人もいます。どちらが正しいという話ではありません。
切り替えが多くて疲れている
急な依頼が入る。予定が変わる。途中の仕事を止めて別の対応をする。
こうした切り替えが重なると、終業後にどっと疲れが出ることがあります。
この場合は、休日にまで細かい予定を詰め込まない方がよいかもしれません。
「午前中に買い物、午後は掃除、その後に友人と会う」と予定を並べるより、「今日は買い物だけできたら十分」と余白を残す方が、結果的に休めることがあります。

休憩は、限界になってから取らない
疲れやすい人ほど、疲れを感じたときにはすでにかなり消耗していることがあります。
集中しているときや、周囲に合わせて頑張っているときは、自分の疲れに気づきにくいからです。
そこで役に立つのが、「疲れたから休む」ではなく、「疲れる前に区切る」という考え方です。
たとえば、
- 50分作業したら5分席を立つ
- 昼休みは仕事の画面を見ない
- 帰宅後すぐに連絡を返さない時間をつくる
- 休日の午前中は予定を一つまでにする
といった具合です。
休憩を取ることは、怠けることではありません。後から大きく崩れないために、先に回復の時間を確保する作業でもあります。
「再開しやすい状態」をつくってから休む
休もうとしても、「あの仕事が残っている」「次に何をすればいいか分からない」と考え続けてしまうことがあります。
そんなときは、休む前に次の一手だけ書いておくのがおすすめです。
たとえば、
- 明日はメールを1件返す
- 資料の3ページ目から確認する
- 上司に優先順位を聞く
- 買い物リストを見てからスーパーへ行く
この程度で構いません。
全部を終わらせる必要はありません。「休み明けの自分が、最初に何をすればいいか」を分かるようにしておく。
それだけでも、頭の中に仕事を置き続けずに済むことがあります。
何もしない休日を、失敗扱いしない
休日に何もできなかったと感じると、自己嫌悪になることがあります。
掃除もできなかった。趣味もできなかった。外出もできなかった。
しかし、その日に必要だったのが回復だったなら、何もしなかったこと自体に意味がある場合もあります。
もちろん、ずっと横になっているのがつらいときもあります。その場合は、「散歩を5分だけする」「シャワーを浴びる」「好きな飲み物を買いに行く」など、負担の小さい行動から始めてみるのもよいと思います。
休むことは、何かを達成するための準備でもあります。
だからこそ、休みの日まで成果を求めすぎなくてよいのです。
睡眠を取っても回復しないときは、相談先を持つ
疲れやすさには、生活リズム、仕事の負荷、気分の落ち込み、睡眠の問題、身体の不調など、さまざまな要因が関係します。
「寝ても回復しない」「遅刻や欠勤が増えている」「好きだったことにも手が伸びない」といった状態が続く場合は、一人で抱え込まず、医療機関や支援機関、職場の相談先に話してみてください。
休み方を工夫することは大切です。ただし、セルフケアだけで何とかしようとしすぎないことも同じくらい大切です。
自分に合う休み方を、少しずつ見つける
発達障害で疲れやすいときの休み方を考えるとき、必要なのは「もっと頑張ること」ではなく、「どこで消耗しているのか」を知ることかもしれません。
情報を減らす。人と離れる。予定に余白をつくる。次にやることだけを書いて休む。
休み方に正解はありません。
自分が少し回復しやすくなる方法を、一つずつ増やしていければ十分です。
脳の疲れやすさについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
発達障害と「脳疲労」──身体だけでなく、脳を休めるという視点
参考
厚生労働省委託「こころの耳」では、働く人向けにセルフケア、睡眠、疲労蓄積度チェックなどの情報を公開しています。
こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
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