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【利用者さんブログ】これまでの振り返り

こんにちは!
訓練生のHです。
前回5月に課題でブログ記事を書かせていただいてからすでに約6ヶ月が経ちました。
(前回の記事はこちら▶【利用者さんブログ】就職活動におけるモチベーションについて)
今回は『ディーキャリア秋葉原駅前オフィスでの訓練期間の振り返り』をテーマにブログを書きたいと思います。
というのも、この度内定をいただくことができて就職活動に一区切りがつくタイミングが見えてきたからです。
(今後の目標は就職先の企業で安定して長く働くこと!)
今回も内容が長くなってしまったため、目次を用意しました。
目次の各項目をクリックすることで該当箇所に飛ぶことができます。
前回同様気になる箇所から読んでいただけたら嬉しいです。
振り返って一言で表すと…?
訓練期間を振り返って一言で表すなら、ずばり『自己理解と成長』だと思っています。
理由は就労移行支援事業所を利用しようと決める前の自分と現在の自分を比べた時に一番感じていることだからです。
私自身が自覚している変化だけでなく家族や友人から言われた変化もあり、自分にとってこの訓練期間はとても良い変化をもたらしてくれたものだと感じています。
詳しく振り返りをする前に私の訓練期間について書いておこうと思います。
通い始めたころの就労時期希望(目標):2025年中
全体期間:2024年11月~2025年9月末まで
ライフスキルコース:11月~5月の7ヶ月
ワークスキルコース:6月~9月の4ヶ月
この11ヶ月の訓練期間について順を追って振り返りをしていきたいと思います。
自分のことは思っていたよりも知らなかった
まずライフスキルコースの頃から振り返りたいと思います。
ライフスキルコースでは自身の生活習慣を整えながら就労生活に必要になるスキルを学びます。
私は障害の発覚が成人してからであったため、それまで自身の持つ障害特性や障害に対する知識もあまり持っておらず、常に手探りの状態で生活していました。
それ故訓練を受け始めてからの私は
「本当に自分の事何にも知らないな!?」
と常に感じていました。
ライフスキルコースの訓練では各発達障害の一般的な傾向などを学ぶ訓練も勿論あるのですが、
それ以上に多いのはアンガーマネジメント、リフレーミング、問題解決、傾聴、アサーティブコミュニケーション…といった基礎知識を得ることで習得が可能なスキルを学ぶ訓練です。
前述のとおり自身の障害特性に対して良く分かっていなかった私は
「どうにかして障害を持たない人と同じようにしたいけど何をやってもうまくいかない…」
と悩むことが多かったのですが、
この基礎知識を得ることで習得が可能なスキルであるということ、またその訓練を通して自身のことを理解していくということはまさに目から鱗の体験だったのです。
スキル習得を通して自分を知る
ではどうやってスキルを習得していくのか?という部分なのですが、ライフスキルコースの訓練形式がかなり大きい要素だったと感じています。
訓練の形式はワークシートを使って自身や他の利用者さんが実際に経験したエピソードを題材にして自身の考え方を深掘りしていくものや、何人かのグループになってロールプレイ形式で会話をしていくものになります。
私が訓練中に気が付いた内容について2つ紹介したいと思います。
①ネガティブになった時は自分が原因でなくても自分が原因だと考えてしてしまう
これはリフレーミングの訓練で気付いたことです。
リフレーミングは簡単に説明すると
『物事を別の視点からとらえ直すスキル』
です。
例えば雨が降って出かけるのが億劫になってしまった時、
「最近買った新品の雨傘を使えるタイミングだ!」
と考えたら億劫というネガティブな気持ちは少しだけ軽減されるかもしれません。
このようにネガティブになってしまった出来事をさまざまな角度から見て他の利用者さんと一緒に深掘りしていき、自分が少しでもポジティブに考えられる気付きを得られます。
私の経験を訓練の題材として取り上げてもらうことが複数回あったのですが、
どの経験も「自分のこういう部分が良くなかったんだ…」
と考えてしまう傾向にありました。
しかし、いざ他の利用者さんの考察や意見を聞きながら改めて状況を整理して考え直してみると
「根本的な原因は自分ではないな…?」
と気付くケースが多かったのです。
その時の自分がどういう風に考えていたのかを訓練の中で更に深掘りしていくと、
理由は何であれネガティブな感情が大きい時は思いついたことをどんどん悪い方向に考えてしまうことが分かりました。
これまで自分に原因があると思っていたのでネガティブを引きずらないようにすることはかなり難しいと感じていたのですが、
原因を誤認していたことによって必要以上にネガティブになってしまっていたのです。
これに気が付いた私はしっかりと原因を知ることが大事だと考え、
訓練外でも「なぜ自分は今ネガティブになっているのか?」と常に考えるようになりました。
リフレーミングというスキルを通して少しずつ必要以上に自己否定的な思考になることが減り、ネガティブな感情を長期間引きずることも確実に減っています。
②会話が苦手な理由は会話内容の情報整理が追いつかないから
これは傾聴の訓練で気付いたことです。
傾聴は簡単に説明すると
『話している人が心地よい・話しやすいと思ってくれるような聴き手としてのコミュニケーションスキル』です。
訓練は傾聴において意識するべきポイントを学んだ後に、利用者さんとロールプレイング形式で実践します。
私は人の話を聞くという状況に苦手意識があり、
その理由は「人の話している内容に興味を持てていないだけなのでは?」と考えていました。
しかし、実践していく中で聞く内容はさまざまあれど相手の話に興味を持って聞こうとすること自体はできていることに気付きました。
相手の話を興味深く聞いていても自分の頭の中で情報を整理しきれておらず、
要所となる部分を瞬時に見つけられなかったり、なんとなくのニュアンスは捉えられているのにうまく言語化できなかったり…。
これが私が会話を苦手と感じる大きな原因だったのです。
傾聴にもさまざまなスキルがあり、
私が特に苦手だったスキルは『繰り返し・言い換え』『要約』といった相槌より具体的に自分の言葉で相手に反応を返すものでした。
訓練をしていく中で私は話している内容を
メモ取りすることで情報の整理がしやすくなること、そして自分の意見を言葉として発すしやすくなることに気付きました。
メモを取るという行動を1つ追加するだけで、相手の話を聞くことに対する苦手意識がかなり減ったように感じています。
最大の敵は生活習慣
ライフスキルコースで着々とコミュニケーションスキルを学び、
支援員さんからそろそろワークスキルコースに移行しても良いのではないか?との提案があった時のことです。
私としては早く就職したい気持ちはあったので
「支援員さんがOKしてくれるなら今すぐにでも移行したい!」と思っているような状態でした。
しかし、移行するにあたって最大の壁となったのは時間管理と生活習慣でした。
朝の通所時間がギリギリになってしまったり、閉所時間になっても帰宅準備が終わっていなかったり…。
生活習慣を整えるという面でもこの時間管理という要素がかなり大きな要因になっていて、ワークスキルコースに移るまで悪戦苦闘しながら時間管理と生活習慣の調整をおこなうこととなりました。
結果的に移行するまで1ヶ月と少しかかったのですが、その際に実際におこなった手順を紹介します。
手順1:支援員さんと目標設定をする。
まず、事業所に到着する時間、事業所を退出する時間などの時間管理の目標設定をおこないました。
私の場合は
『事業所が開所する10時に到着する』
『事業所の閉所時間である16時の10分前には帰宅準備を済ませる』
という目標を設定して1ヶ月間継続しておこないました。
手順2:設定した目標に合わせて生活習慣を見直す。
目標達成のために、まず家を出る時間を見直しました。
そこから起床時間、家を出発するまでの過ごし方などの見直しをして目標を決めました。
手順3:決めた目標を基に記録表を作成し、支援員さんにも共有する。
目標を立てたら後は実践するだけ…なのですが、私の場合モチベーションを維持することが難しく三日坊主になりがちでした。
そのため記録表をExcelで作成し、毎日記録を付けること、そしてその記録表の中身は常に支援員さんにも共有することで
『他者も進捗状況を確認している』
『実績を付けることでできた日に実感を得られやすい』
という環境を作り出しました。
この記録表は生活習慣が安定するまでの期間活用していました。
手順4:スマホのToDoアプリ・スケジュール帳アプリの活用
私はスマホを見る時間が多いという自覚があったため、
スマホのToDoリストアプリに毎日のルーティンやその日やらなければいけないことを設定してウィジェットを待ち受け画面に配置、おこなったらチェックをするという習慣付けをしました。
私の利用しているアプリはアラーム設定も可能なものだったので薬を飲む時間などの決まった時間におこなうルーティンは全てアラームを設定して活用しています。
スケジュール帳も同様に自分の予定は全て入力し、課題の提出期限なども入力するようにしています。
どちらのアプリもアラーム設定のコツとして、ルーティン以外の提出期限やその日中におこなわなければならないものについては、当日の朝起きる時間にアラームセットして通知が目に入るようにするとうっかり忘れてしまうことを防げてかなり有効的です。
体感一瞬だったワークスキルコース
ここからはワークスキルコースの振り返りをします。
ワークスキルコースに移って「よし!本格的に就職活動をするぞ!!」となったわけですが、
ライフスキルコースにいた時よりも1日が早く終わるような感覚になりました。
まず応募書類の作成からスタートし、WordやExcelなどの基礎知識を身に着けるための課題制作、
自身の希望条件の見直し…、とにかくやることが移った直後から盛りだくさんなのです。
希望条件がおおよそ決まってくると企業説明会や企業実習、面接など実際に企業に赴く活動も増えていきます。
私の場合は早く就職したいというモチベーションの高さもあったため、振り返ってみるといろいろやることがあるのに時間が全然足りないと常に嘆いていた気がします。
積極的に活動予定を入れてスケジュール帳をどんどん埋めて…。
そんな感じで充実した活動を行えていた4ヶ月間だったので、月末に開催される情報共有の場が来るたびに「もう1ヶ月経ったの!?」と驚いていた記憶があります。

説明会や実習から知る自身の希望条件
私が障害者雇用における就職活動において特に大事だと感じたことは
企業説明会や企業実習で実際の環境を知ることです。
私自身、実際の環境を知ることで新たに自身の特性や希望条件に気が付くことが多く、
結果的に事前に考えていた希望条件よりも優先度が高くなることがありました。
実際に具体的になった条件の例として『一定音量の雑音がある環境』というものがあります。
この文字だけだと伝わりにくいと思うのですが、
私には静かな職場環境では過集中状態になりやすかったり、逆に他者の目が気になってしまって全く集中できなくなったりしてしまうという特性があります。
どちらの状態になっても継続的に毎日決まった時間業務を集中しておこなうということは難しく、ある程度雑音だったり会話の声だったり、何かしらの音が聞こえている環境が好ましいと思っていました。
しかし、この『静かな環境』というざっくりとした概念の中で
「自分の特性が出やすくなるのはどれくらい静かなのか?」
「聞こえる音量もどれくらい大きくなると気が散ってしまうのか?」
という詳細な部分は自分でもわかっていなかったのです。
『自分が集中しやすい雑音』の音量の範囲を探っていくために、普段事業所で訓練している時の集中力を基準として説明会や実習に行った際に環境確認をしていました。
最終的に採用面接に応募した企業はこの条件に一致する職場環境であるということが決め手になりました。
また、企業実習を通して業務上配慮をいただきたい特性に気が付いたということもありました。
実習に参加することでさらに自己理解が深まったと感じています。
参加できる機会があるのであれば、とりあえず参加してさまざまな企業の環境を見る。
自分が長く働ける企業を探すという点において一番重要な行動なのではないか?と私は考えています。
他の利用者さんとの情報共有は大切
ディーキャリア秋葉原駅前オフィスでは、ワークスキルコースのオリジナルイベントとして月に1回月末にその月にした活動を各利用者が発表して情報共有する「わく☆わく会」があります。
ワークスキルコースは基本的に個別の活動がメインになってくるので、普段同じ机で作業をしている利用者さんでも実際の活動は知らないことが多いです。
そのため、わくわく会で他の利用者さんの活動内容や、どのようなことを意識して取り組んだのかなどを知れる貴重な機会となっています。
「この人はこうしたけど、もし自分がこの状況下にいたらどのようにするだろう?」
「今後自分が面接に挑むときは時はここに気を付けよう」
といったように話を聞きながら自身の感想をメモに残すことで、自分の経験だけでは気付くことのできなかったことを考えるきっかけにもなります。
また、自分の活動報告をした際には、他の方からの質問をしていただくことで自身の活動内容を深堀利することが出来ます。
自分では気が付かなかった視点で振り返ることもできるのでとても有意義な経験だと感じています。

まとめ
通い始めたころは就活がどれだけの期間になるかも分からず、
「毎日訓練を受けていて前より考え方とか良くなってきているけど、本当に2025年の間に就職できるかな?」
と不安になることが多かったです。
しかし、そういった不安を感じた際に「自分には無理だ」と投げ出さずに向き合って乗り越えた経験の積み重ねが、「2025年の間に就職する」という目標の達成につながったと感じています。
元々の私は問題に向き合うことが本当に苦手で投げ出してしまうことが多かったので、
そうなってしまっていた原因に気が付けたこと、そして正しい対処法を学べたことはとても大きな経験だと感じています。
自分だけだと中々自分を見つめ直す機会を作るのも難しいし、見つめ直す手段も分からないということが多いと思います。
就労移行支援事業所を利用することで、就職に向けた就職活動という人生の分岐点になるタイミングで自分を見つめ直して必要なスキルを学ぶ機会のキッカケを作ってみるのも良いのではないかと私は思います。
訓練期間を通して一訓練生が感じたことではあるのですが、読んでくださった方の参考になる部分が少しでもあったらいいなと思います。


