3/5 「脳のメモ帳」を広げるより、使いこなす技術
今日の事業所では、多くの利用者さんが「ワーキングメモリ」の特性と向き合う訓練をしていました。 よく「ワーキングメモリが低い=忘れっぽい」と一括りにされますが、現場で見ていると、実は人によって「情報のこぼれ方」が全然違うのです。
そもそも、ワーキングメモリって?
例えるなら、脳の中にある「一時的な作業机」のこと。 新しい書類(情報)が届いたら、机に広げて内容を確認し、整理して、片付ける。この一連の流れを支える能力です。
発達障害のある方の多くは、この「作業机」の使い勝手に独特のクセを持っています。
- ADHDタイプ: 机の上が非常に小さく、新しい書類が来ると前の書類が床に落ちてしまう(指示の途中で忘れる)
- ASDタイプ: 机は広いけれど、書類を整理する「仕切り」がないので、どこに何があるかパニックになる(情報の優先順位がつけられない)
事業所でおこなっている「3つの実戦訓練」
「記憶力を鍛えて机を広げよう!」……というのは、実はあまり現実的ではありません。それよりも「机からこぼさない工夫」を練習するのが就労への近道です。
1. 「聴覚」を信じない!徹底したメモ習慣
「口頭で言われたことは、3秒後に消える」という前提で動きます。
訓練内容: スタッフがわざと早口で3つの指示を出します。それを「ちょっと待ってください」と止めて、自分のメモに書き起こす練習です。「聞き返す勇気」も立派なスキル!
2. 「脳の外」にハードディスクを作る
机が狭いなら、サブテーブルを用意すればいい。
訓練内容: PCの付箋機能、リマインダー、タスク管理ツールを使いなど脳の中に留めず、すべて「外」に追い出すことで、脳のCPUを「考えること」だけに集中させます。
3. 「シングルタスク」の環境構築
マルチタスクはワーキングメモリを激しく消耗させます。
訓練内容: 机の上を物理的に片付ける、耳栓(ノイズキャンセリング)を使う、ブラウザのタブを開きすぎない。「今、この瞬間はこれだけを見る」という環境を自分で作る練習です。
最後に:弱点は「強み」の裏返し
ワーキングメモリの特性で悩む方は、その分、「一つのことに没頭する集中力」や「直感的な発想力」が優れていることが多々あります。「忘れてしまう自分」を責める必要はありません。大事なのは、「忘れても大丈夫な仕組み」を職場でどう構築するか。
私たちは、その「自分専用のマニュアル」作りを全力でサポートしています!


