大人の発達障害、失敗の繰り返しを解決する方法
発達障害における情報処理過程の支障が、仕事上問題となることがあります。「メモが苦手」「集中力や注意力に課題がある」「長い話しはサウンドとして耳には入るが、内容や意味が分からなくなる」「自己解釈により聞いた内容が、実際とは違うことがよくある」などなど。このような特性について把握することが難しく、「仕事の失敗の原因がよくわからない」「同じ失敗を何度も繰りかえしてしまう」…という困りごとにつながることも少なくありません。
このような仕事上の困りごとに対して、発達障害の特性を知り、失敗の原因が分かることで何らかの対処法や、自分でできる工夫が見えてきます。
①発達障害における情報処理過程の支障について
大人の発達障害~情報処理過程にみられる特性/対処法~|就労移行支援事業所ディーキャリア (dd-career.com) 情報処理過程の詳しい説明は上記ブログをご参照ください。
ディーキャリア大分オフィスでおこなっている訓練の中に、この情報処理過程の支障をカバーしていく(対処法や工夫の検証を行う)訓練があります。それがワークスキルコースです。ワークスキルコースは、より職場に近い環境下で、実際の仕事や疑似業務をしながら訓練をおこなうコースです。以下、事例を見ながら情報処理過程の支障をカバーしていく方法を見ていきましょう。
【事例1】
「PCでの住所録入力作業(指示された企業のみ)。新しいフォーマット(企業名、代表者名、〒と住所、電話番号の4項目)を作成し入力する」指示。
この指示に対して指示確認のために3つことをおこないました。①時間をもらいながらメモを取る。②作業手順としてまとめる。③指示を出した人に内容のチェックをしてもらい作業を始める。
しかし指示とは違う作業をおこない、注意を受けてしまいます。注意を受けた時点では「指示通りにしたのに何が違っているんだろう…確認もしてもらったのに、OKしたじゃないか」と、間違いに気付いていない状況+注意をされたことに対する怒りの感情も出現しています。
さて、この事例での「仕事上の困りごとにつながる情報処理過程の苦手」は何でしょうか?
この事例の中で、情報処理過程の苦手として次のことが考えられます。「指示の解釈が本来の内容と違う」→作業手順を確認してもらい作業したけれど、できあがったものが”指示とは違う”とは、どういうことなのでしょうか?
以下に示すのは、「指示を出した人の完成予想」と、「指示を受けた人のイメージ(自己解釈)」です。
随分、仕上がりが違いますね。このように手順書やメモ、口頭指示から書き起こした文章だけでは、指示受けが不十分だったということが分かります。理由として「考え方の傾向」「解釈の違い(自己解釈の絶対化)」などの特性+「経験不足」も考えられるかもしれません。
訓練として、まずは①~③(①時間をもらいながらメモを取る。②作業手順としてまとめる。③指示を出した人に内容のチェックをしてもらい作業を始める。)をおこなったうえで、指示確認にもう1工程、加えます。それは「④作業開始後、できるだけ早い段階で、1度チェックをしてもらう」です。
例えばこの事例の場合、「住所録のフォーマットができた時点で1度確認をしてもらう」、この行動をとることで間違いを初期段階で修正できます。全部入力した後、間違いを指摘され腹立たしくなることもなく、何よりやり直す時間の無駄を省くことができます。
このケースでは問題がもう一つあります。それはコミュニケーションエラーが生じてしまうリスクが高まっていることです。
「注意を受けたときに、怒りの感情をもってしまったこと」に起因します。ため込めば強いストレスにつながりますし、感情のままに言い返せば相手との関わりに支障が起こります。
確認行動を1つ増やすだけで、お互いWINWINに働くことができる、ただ単に「失敗しない」という目的だけではなく、「円滑に仕事を継続できる行動」とも言えるのではないでしょうか。
「指示確認の行動」は、簡単に思えますが、何度も相手に声をかけたり、自分が理解したことを伝えることは、練習を重ねることで、少しづつできるようになるものです。この訓練を積み重ねるためには、まず自分の仕事の仕方を知る/振り返る必要があり、そのためには「自責思考」で考える必要が出てくる、実はこれが重要で最大の難題です。
振り返る中で、情報処理過程に何らかの苦手があることの自覚や、自分の仕事の現状(自己解釈で進めがち等)把握や受容を、繰り返し積み上げていくことで、素直に確認を申し出ることができたり、注意や指摘をその場で感情のコントロールをしながら、受け入れることが可能になり、コミュニケーションエラーのリスクを避けることができるようになるのです。
まとめ
失敗の繰り返しを解決するためには、まず自分の仕事の仕方の振り返り(分析)を自責思考でおこなうこと、次に解決の糸口として情報処理過程のどこに問題があるのか認識すること、最後に「指示確認」の方法をルーティン化し、粘りづよく習慣化できるまで意識して取り組むこと、以上3点、ご紹介しました。
安定した就労のために必須なことは、「特性上できないことができるようになるのではなく、苦手なことや、できないことをどのように補っていくのかを知り、対処法や工夫として言語化し、日々、実践できる力」なのです。
「自分の仕事の仕方を知る/振り返る必要があり、そのためには「自責思考」で考える必要が出てくる、実はこれが重要で最大の難題」と今回のブログに書きましたが、この部分の補足として、是非、大分オフィスの下のブログ↓を、ご覧いただけると嬉しいです。
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②発達障害(注意欠如・多動性障害ADHD 自閉症スペクトラム障害ASD:アスペルガー症候群、適応障害など)のある方が、ご利用されています。
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