大人の愛着障害②~症状と困りごと、対処法について~
大人の発達障害の問題の背景に、子どものころの愛着の問題が関係していると考えられています。「愛着障害の背景に、発達障害が隠れている」こともあります。愛着障害の診断としては、DSM-5の「反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害」がありますが、その定義と診断基準に当てはまり「愛着障害ですよ」と、診断をされる大人の方は少ないです。診断基準に当てはまらない程度の大人の愛着障害のある方は、「発達障害グレーゾーン」や、「適応障害」と診断されることが多いのではないでしょうか。大人の愛着障害の特徴的な症状と困りごとについてご紹介し、克服に必要なポイントについてご紹介したいと思います。
「大人の愛着障害について」のディーキャリア大分オフィスブログも是非、ご参照ください。→大人の愛着障害/愛着形成について ~対人関係に不安を感じるときの対処法 ~|就労移行支援事業所ディーキャリア (dd-career.com)
<ディーキャリア大分オフィスについて>
①発達障害の特性に応じた訓練プログラムを提供している、大分県で唯一の就労移行支援事業所です。
②発達障害(注意欠如・多動性障害ADHD 自閉症スペクトラム障害ASD:アスペルガー症候群、適応障害など)のある方が、ご利用されています。
③大人の発達障害に専門知識のあるスタッフ(有資格者:ジョブコーチ、国家資格キャリアコンサルタント、社会福祉士、看護師、児童発達支援士、SSTスペシャリストなど)で運営しております。
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目次
①大人の愛着障害症状
②大人の愛着障害困りごと
③大人の愛着障害 克服のポイント
①大人の愛着障害症状
大人の愛着障害の特徴として、人との完成を築くときに「人に頼ることが苦手か、過度に依存するか」の両極端になる傾向が強く見られます。一見、頼るか依存するか、正反対にみえる特徴ですが、原因は共通しています。次のような症状がみられることがあります。
- イライラしやすい
- 落ち込みやすい
- 慢性的な不眠や食欲不振がある
- 多動、片づけられない、突発的に危険な行動に出る、モノに執着しこだわる
- リストカットなどの自傷行為を繰り返す傾向がある
- 周りの反応を試すような「試し行動」がある
- 嘘をつきやすい、虚言癖
- 自己評価が低い、自己肯定感が低い(基本的にネガティブ思考)
②大人の愛着障害困りごと
愛着障害にも発達障害のようにグレーゾーンがあります。なので、以下に挙げた困りごとも、程度や内容にばらつきがあり、一定ではないという特徴があります。
- コミュニケーションの凸凹がある/感情のコントロールが苦手/ネガティブ思考が優先することが多い/白黒思考、完璧主義/人に気ばかり遣ってしまい疲労困憊する/自己開示することに対して極端に(病的)臆病になってしまう/人と関わること自体が苦手/自分が強いストレスを感じても、相手に合わせてしまう/「冷たい」と言われる/他の人や物事に関心が持てない/何事にも今ひとつ本気になれない/否定されることや拒否されること、傷つくことに非常に敏感
③大人の愛着障害 克服のポイント
克服のポイント~はじめに~
結論からお伝えすると、「あきらめずに緩やかな人間関係を築く」に要約されます。愛着というのは乳幼児期などの(重要な部分ですが)、極一部の限定された部分しか指していない関係性の話しなわけですから、この時期に愛着が十分に確保できなかったとしても、その後の人との関係性によって十分に挽回されるものだという事を知って欲しいと思います。ですから、「生物学的な親」にこだわらず、友人や先輩、尊敬できる先生や上司、これから出会う恋人や配偶者といった人たちによっても、十分もたらされるものなのです、人によっては親以上に。このような親以外での人との関わりの中で、生涯を通じて、緩やかに少しづつ変化して、発達し続けるのが愛着です。
ポイント①「相手に過度の期待をしない」
身近な人ほど「程よい距離感」で関わること:心の距離感も含め、実際の距離が近い家族や恋人、友人も含め、程よい距離感を保つことがポイントです。とはいえ大人の発達障害のある方にとって、この「程よい」加減がわかりづらいと感じることが多いのではないでしょうか。「程よい距離感」を具体的な行動レベルで示します。・間違いを指摘しすぎない。(白黒思考や勝ち負け思考の傾向がある方は注意)たとえ生物学上の親や兄弟姉妹であっても、「相手は別の人間であり、それぞれのスタイルがある」ことを、常に頭に置いておきましょう。ほどほどに関わり「過度の期待をしない」ことです。
ポイント②一方的な関係性を強いられる環境から離れる
今、生活している場所がストレスフルな場所であれば愛着は不安定になりがちです。ここでいうストレスは人間関係におけるもので、例えば「実績をあげたり、相手の期待にこたえた場合のみ愛される」というような関係性しかない環境のことです。このような人間関係では愛着は安定しません。愛着とは自分の利益や得、報酬などとは、関係ない(根拠のない)愛情や信頼、絆を意味するからです。いい時にはかわいがってもらえ、相手の思い通りにいかなかったり、相手の不利益になる場合には、心理的放置を強いられる関係性から抜け出し、より良い環境を選択する必要があります。そして、ゆるやかにさまざまな人たちと関わり、信頼関係を少しづつ築いていくことをお勧めしたいと思います。実際の距離をとることが難しい場合には、しっかりと心の距離をとりましょう。心の距離をとるとは、「あなたはあなた、私は私。あなたの価値観の中の私は、現実のこの私とは違う存在です」と心の中で、自分に言い聞かせることです。
ポイント③トラウマの解消
ゆるやかな、柔軟な新しい良い情報や気付きを拒むもの、アップデートできない様にブロックしているものそれが「トラウマ」です。トラウマが邪魔して適切な更新が阻まれてしまい、成熟を妨げています。良い環境下や良い人間関係性を築ける状況であったとしても、トラウマが更新させてくれないのです。トラウマの解消は、トラウマケアの専門機関で取り組む必要があります。
ポイント④過去に意味づけをおこない、自分のわだかまりを解消する
トラウマの解消には専門機関で取り組む必要がありますが、過去の意味づけを変えることで「自分のわだかまりを和らげる」ことはできます。過去に戻って何もかもやり直すことはできません。親や兄弟姉妹との関係の改善も、期待するような和解やお互い理解し合うことは、どうしても難しい事例が多いことも事実です。過去の変えられない体験…親との和解や生き直しは不可能に近い非常に難しいことです。変えられない過去にこだわらずに、愛着の安定を取り戻すことはできます。
大人の愛着障害の症状や困りごと、克服のポイントをご紹介しました。愛着障害だけではなく、大人の発達障害を含む精神疾患は、主疾患が分かりにくいと言われています。例えばうつ病は二次障害で、実は主疾患に発達障害がありましたや、以前適応障害と診断されましたが、経過を追うことで統合失調症が主疾患でしたなど。主疾患が見えにくい理由として精神疾患は背景が複雑なこと、症状の程度や特性・特徴や内容に個人差があり、診断が1度や2度の診察ではわかりにくいこと、経過を診ていかないと非常に難しいことが挙げられます。今回の愛着障害に関わらず、気になる症状がある場合、まずかかりつけ医に相談することをお勧めしまう。かかりつけ医がなく、どこを受診したらいいのかわからない場合は、(精神疾患の総合診療的な)心療内科を受診することをお勧めします。
ディーキャリア大分オフィスは発達障害などの診断名(病名)にこだわらず、困りごとへの対処法、また自己理解の方法、セルフケア、セルフコントロール方法について訓練していきます。就職・就労に必要なコミュニケーションスキルやビジネスルールマナーについても訓練しています。ライフスキルコース・ワークスキルコース・リクルートコース、この3つのコースを移行しながら、あなたの「なりたい」を見つけ、訓練の中で生じる就労や日常生活活動上の不安や課題についても、一緒に考え必要なこを見出し、今できる事をしていけるように訓練をしています。
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文責 秋元美智子(看護師)
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