発達障害と新型うつ病(非定形型)
~発達障害の3大合併症と予防対策~
こんにちは。ディーキャリア大分オフィス職業支援員の秋元です。
今日お話しするうつ病ですが、日本では、100人に約6人が生涯のうちにうつ病を経験しているという調査結果があります。医療機関で20年間看護師をしていましたが、うつ病は、事故や病気、日々の蓄積されるストレスにより発症することが多い気分障害のひとつです。
うつ病と聞いて、不眠、元気が出ない、日常生活を送る上でつらい病状が続き、お薬を飲んでひたすら休むしかない、というイメージがあるのではないでしょうか。 皆さんがイメージされているこの広く認知されている「うつ病」は、時に妄想などを伴うこともあることから、2大精神病のひとつとされている「内因性のうつ病」です。(*2大精神病…統合失調症と躁うつ病) しかし妄想などは全く認められない、うつ病があります。この精神病的ではないうつ病を「新型うつ病」(非定型うつ病と言われることもあります)と言います。実はこの新型うつ病は、発達障害の二次障害と考えられるケースが多いと言われています。今回はこのような発達障害の二次障害として診断がしにくい、わかりづらい精神疾患3つを次の順で、詳しくご紹介していきたいと思います。
①新型うつ病の特徴
②双極性うつ病
③不安障害
また末尾に予防対策についても載せていますので最後までご覧になってください。
①新型うつ病の特徴
新型うつ病の特徴として次のことがひとつ挙げられます。仕事の場面では、抑うつ気分、不安、焦燥、意欲低下などうつ病の症状が目立ちますが、仕事以外の場面では比較的症状が目立たないということです。 仕事以外では自分が心地よいと思える環境や、人といるときには症状は目立ちません。このようにうつ病でも2面性がある場合、内服薬は効きにくい傾向にあります。 (仕事中に症状が出てしまうと困るため、さらに薬の量が増えてきます。そのため副作用にも悩まされるというリスクもあります。「新型うつ病」の特徴をまとめておきます。・仕事の場面ではうつ病の症状が目立つが、仕事以外の場所では症状は目立たない。・内服薬の効果が出にくく、そのため薬の量が増えて副作用がでやすくなる。
「新型うつ病」の発症経緯例と一般的な治療方針例
新型うつ病の発症の経緯を例を挙げて説明します。 ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性であるコミュニケーション障害や社会性の障害、感覚過敏などから 仕事に適応することが難しく、二次的に新型うつ病に陥るなどの例が考えられます。 このような場合は、認知行動療法的アプローチの効果が上がるため、 WAIS-ⅣやAQの結果に基づいた助言や治療を進めてくことが、一般的だと言われています。 このとき細かいところまで把握することが可能であれば、より的確なアドバイスができます。
②双極性うつ病
発達障害、中でもADHDの人は双極性障害を発症しやすいことが分かっているため、双極性障害についても今回、説明しておきたいと思います。 (以前の精神科の教科書や参考書には、双極性障害になりやすい方の性質として「循環気質」が挙げられているのですが、 ADHDと循環気質は一部重なっています) *循環気質:「この性質の人は、社交性があり、善良で親切です。人付き合いがよく、おしゃべりで快活なので、躁状態(気分が高揚した状態)である印象を与えます。一方で、責任感を強く感じて、失敗を引きずってしまうという面も合わせ持っています。気分が塞いで、うつ状態に陥ったりもします。」(ドイツの精神科医 クレッチマー)
双極性障害には次に示すように、Ⅰ型とⅡ型があります。
Ⅰ型 | 躁状態:多弁・多動。夜も眠らず活動 |
Ⅱ型 | やや元気という程度 |
Ⅱ型はやや元気という程度なので、躁状態が見過ごされてしまうことがよくあります。躁状態が見過ごされると病気の経過中に、うつ状態しか目立たくなります。このような病気の経過中にうつ状態しか目立たない状態になると、本当は「双極性うつ病」なのに、単なる「新型うつ病」と診断される可能性が高くなります。 当然、「新型うつ病」と「双極性うつ病」の治療薬は違ってきます。 (双極性うつ病の場合には抗うつ剤ではなく、気分調整剤や非定型抗精神病薬が有効。) ここで言えることは以前、紹介した「発達障害の診断受けた方がいい?」にも書きましたが、やはり発達障害という主疾患が分かっていることは、二次障害の誤診予防になるということです。
③不安障害
最後に発達障害のある方の二次障害で合併率が高いと言われている不安障害について、その原因とともにお話したいと思います。 不安症が発達障害で合併率が高いメカニズムを図示すると次のようになります。まずはASD(自閉症スペクトラム障害)から説明します。
次にADHD(注意欠如・多動性)について示します。
このように発達障害をともなう不安障害の場合には、一般の不安障害とは原因が異なります。そのため不安症に使用される内服薬も、一般的なものとは異なってきます。 治療上でも言えることは、発達障害という主疾患がわかっていることで、診断の手だてとなり適切な治療を早い段階で提供してもらえるということです。
発達障害の二次障害として診断がしにくい、わかりづらい精神疾患3つ「新型うつ病」「双極性うつ病」「不安障害」についてみてきました。 共通して言えることは、「見えている症状からだけでは主疾患が診断しにくい脳機能障害」ということです。
では最後に発達障害の合併症としての「新型うつ病」と「不安障害」の予防対策をご紹介したいと思います。 いわゆる発達障害の方が感じている不安は、障害特性によるものなので「治す」といったことは難しいので、ご自身の”気持ちのメンテナンス方法”を見つけ、うまく付き合っていくことが大切になっています。例えばディーキャリア大分オフィスでは、「今の自分の感情と自分の思考の癖を自覚」する訓練:自己理解、感情のコントロール法、コミュニケーション訓練等、「 達成したいことの明確化」:目標設定、問題解決、「不安を外に出す」:面談や匿名での泣き言セラピーなどの訓練をおこなっています。新型うつ病の原因である”自分だけ異質”と感じてしまうに対しては①”暗黙のルールやマナー”を知ることで、少しでも違和感から生じるストレスを軽減していく。②日常生活上のコミュニケーションスキルやビジネスのルールやマナーを知り、訓練していくことで仕事に対するストレスの軽減を図る。③困りごとに対して対処法を学び自分に合う方法をみつけ、スモールステップで実践していく。発達障害に特化したコンテンツで、このような訓練を行っています。
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