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ADHDとタスク管理が難しい理由とは?最新研究から考える実行機能と支援

ADHDとタスク管理の困難

現代社会では、会議に出席したり、メールに返信したり、仕事や学業の締め切りを守ったりするために、**タスク管理(task management)**の能力が不可欠です。ところが、**注意欠如・多動症(ADHD)**のある人の中には、「やるべきことがうまく進まない」「計画立てても途中で忘れてしまう」「優先順位が分からない」と感じる人が多くいます。これは決して本人のやる気がないわけではなく、認知の仕組みが通常とは異なるために生じる困難だと、近年の研究が示しています。

特に、タスク管理に関連する「ワーキングメモリ(作業記憶)」や「組織化スキル(organizational skills)」は、ADHD の核心的な支援ポイントとして注目されています。

研究で明らかになったワーキングメモリと組織化スキルの関係

「Working memory and organizational skills problems in ADHD」と題された論文では、ADHD のある子ども(8〜13歳)とそうでない子どもを比較し、ワーキングメモリの機能低下が組織化スキルの困難と深く関連していることが示されました。具体的には、以下のような事実が確認されています。

  • ADHD の子どもでは ワーキングメモリが著しく低い(効果量 d = 1.24)。
  • また 組織化スキルの問題が大きい(効果量 d = 0.85)。
  • ワーキングメモリの低さは、注意欠如や多動/衝動性に関連しながら、タスク計画・記憶・物品管理などの困難につながっている

この研究の重要な点は、ワーキングメモリの弱さが直接・間接的に組織化スキルの問題を引き起こしている点です。つまり、タスク管理の困難は単なる注意の問題ではなく、情報を保持・操作しながら進める機能そのものに関わる障害であるということが科学的に分かっています。

ワーキングメモリとは何か?なぜ重要なのか

ワーキングメモリとは、短期間に情報を一時的に保持し、それを操作して別のタスクに活かす能力です。例えば、買い物リストを覚えながら買い物を進めたり、会議中に次のアクションを考えたりする際に使われています。ADHD ではこの機能が弱いために、

  • 手順を忘れてしまう
  • 今何をすべきか分からなくなる
  • 会話中に次のステップを考えられない

といった状況が頻繁に起きます。こうした症状は、本人にとっては「タスク管理ができていない」というよりも、「脳の処理が同時に進められない」という根本的な原因があると考えられています。

実行機能と日常生活の繋がり

実行機能(executive functions)とは、注意の切り替え、ワーキングメモリ、計画・組織化、行動の抑制などを総合的に管理する能力です。ADHD ではこの実行機能全般が弱いことが多く、結果としてタスク管理が困難になります。実際、別の研究でも ワーキングメモリと組織化スキルが学業成績と密接に関連していることが示されています。つまり、ワーキングメモリが弱いほど、計画立案や課題処理がうまく進まず、結果として学校や仕事でのパフォーマンスが低下するのです。

ADHD のタスク管理が難しい理由とは

これらの研究を総合すると、ADHD によるタスク管理の困難さは次のようなメカニズムで説明できます:

  1. ワーキングメモリの弱さにより、同時に保持すべき情報が失われやすい。
  2. その結果、優先順位づけや計画立てが苦手になる
  3. 注意の切り替えがスムーズにいかず、途中で気が散る・忘れる
  4. 組織化スキルの低さが、物品管理や進捗追跡にも影響する

つまり、**タスク管理ができないのは「意思の問題」ではなく「脳の情報処理の仕組みの違い」**が背景にあるのです。これは本人の責任ではなく、支援が必要な神経発達特性の一部として理解されるべきです。

支援と対策:実行機能を補完する方法

では、ADHD のある人はどうすれば日常生活でのタスク管理を改善できるのでしょうか。研究から導ける支援のポイントは次のとおりです:

✔ 外部ツールの活用

手帳・アプリ・リマインダー、タイマーなどを使い、情報をワーキングメモリから「外部記憶」に移すことで、負担が大きく減ります。

✔ タスクの分解

大きな仕事を細かいステップに分けることで、ワーキングメモリにかかる負荷を下げられます。

✔ 視覚的なサポート

色分けやチェックリスト、日程表などの視覚的ツールは、組織化スキルの弱さを補う助けになります。

✔ 習慣化ルーチン

習慣化は、ワーキングメモリの負担を減らし、ルーチン化された行動によりタスクが滞りにくくなります。

ADHD の理解と支援の重要性

今回の研究は、ADHD のある人がタスク管理で困難を感じる背景を、科学的・認知プロセスの観点から説明してくれています。 ADHD のタスク管理の問題は、注意の散漫や気分の問題といった「表面的な症状」だけではなく、実行機能そのものの構造的な違いに根ざしているのです。これは、本人を責めるべきではなく、理解して支援の仕組みを整えるべき課題であることを示しています。

支援者や家族、当事者自身がこのメカニズムを理解し、支援方法を取り入れることで、日常の困難は確実に軽減していきます。ADHD とタスク管理の関係を知ることは、困難さを正しく理解し、前向きな支援へつなげる第一歩なのです。

参考

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28714075

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