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発達障害・偏食・摂食障害 「食べる」がしんどい気持ちを理解するために

「食べられるものが少ない」「特定の食べ物だけじゃないと落ち着かない」。
こうした“偏食”は、本人の性格やわがままではなく、発達特性と深く関係していることが、さまざまな研究から分かってきています。

さらに近年は、偏食が進行したり、食への不安が強くなることで 摂食障害(Eating Disorders) につながる場合も注目されるようになりました。
特に ARFID(回避・制限性食物摂取症) は、発達障害との関連性が高いことが報告されており、本人も周囲も気づきにくい特徴があります。

今回は、発達障害と偏食・摂食障害について、できるだけやわらかく、でも科学的なエビデンスに基づいてお話しします。


■ 1. 発達障害の人が“食べにくさ”を抱えやすい理由

● ASDのある人は「感覚の鋭さ」が食べることに影響する

自閉スペクトラム症(ASD)のある人は、味・におい・食感といった刺激を“強く”感じやすいと言われます。

研究でも同様の結果が示されていて、
Kuschner ら(2015) の研究(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4545503/)では、ASD成人の多くが、食べ物のにおい・見た目・食感が強すぎて食べられないことを報告しています。

例えば…

  • ざらっとした舌触りがどうしても無理
  • においを嗅いだ瞬間、体が拒否する
  • 温かい料理の湯気で気持ち悪くなる

こうした反応は「好き嫌い」よりも 身体の感覚が過敏に反応してしまう現象だと考えられています。


● ADHDのある人は“生活リズム”や“段取りの難しさ”が影響

一方、ADHDでは感覚過敏よりも、“実行機能”(段取り・計画)の特性が偏食につながることがあります。

Barkley(2024) の研究や
Nigg(2017)でも、ADHDの人には以下の傾向があると示されています。

  • 気づいたらお腹が空きすぎている
  • 手軽に食べられる同じものばかり選ぶ
  • 買い物・料理の段取りがとにかく面倒

これは「食べたくない」のではなく
“どう準備して食べればいいか段取りがつかない”
という特性が影響しています。


■ 2. 偏食が“摂食障害”につながることもある

最近注目されているのが ARFID(回避・制限性食物摂取症) です。

ARFID の特徴は――

  • 体型へのこだわり(痩せたい)が理由ではない
  • 感覚の問題や不安が原因で食べられない
  • 結果として栄養や体重に影響が出る
  • 食べること自体が“怖く”なることもある

Thomas ら(2017) の論文では、
ARFID の 2〜4割が ASD 特性を持つことが報告されています。

つまり、偏食の背景に
「感覚過敏」+「不安」
が重なると、摂食障害につながる可能性があるということです。


■ 3. “食べられない”は、日常生活にも影響する

● 栄養状態はメンタルや集中力にも影響

Benton & Donohoe(1999) の研究では、栄養状態は感情の安定や集中力に影響することが示されています。

発達障害の人はもともと疲れやすさや不安を抱えやすいので、
そこへ栄養の偏りが重なると、負担がより大きくなってしまうことがあります。

● 社会的場面でも誤解されやすい

  • 会社のランチ
  • 友人との飲み会
  • 食事つきの研修

こういった場面で「食べられない」ことがストレスになり、
誤解されてしまうこともあります。

本人は“食べられない不安”でいっぱいで、
決して失礼なわけではありません。


■ 4. 研究に基づく、無理のないサポートの方法

✔ 感覚過敏の偏食には「food chaining(フードチェイニング)」

Kuschner の研究でも紹介される方法で、似ている食品からすこしずつ広げていくアプローチです。

例)

  • 白米 → おかゆ → やわらかいリゾット
  • ポテト → ポテサラ → ほかの根菜類

“無理をしないこと”が一番大切です。


✔ ADHDには「仕組み化」「ルーティン化」

Barkley(2024)が提案する実行機能支援を食事に応用すると、

  • 買い物リストを固定
  • 朝食セットをルーティン化
  • 調理が少ない食品をストック

など、選択肢を減らして負担を軽くできます。


✔ ARFIDの疑いがある場合

Thomas ら(2017)は、
医療(小児科 / 精神科)+心理支援+栄養サポートの
多職種チームアプローチ が効果的だと述べています。

以下のサインがあれば、専門へ相談を推奨します。

  • 新しい食べ物に強い恐怖がある
  • 食事でパニックが起きる
  • 体重が減っている

■ 5. 偏食は「努力不足」でも「わがまま」でもない

発達障害による偏食や摂食の問題は、
脳の働きや感覚、実行機能の特性による“自然な反応” です。

だからこそ周囲は――

  • 無理に食べさせようとしない
  • 食べられる食品を尊重する
  • 少しずつ広げる
  • 必要に応じて専門機関に相談する

このスタンスがとても大切です。

“食べること”がしんどい人は珍しくありません。
その気持ちを理解し合えたら、食事はもっと安心できる時間になります。

参考文献

  1. Kuschner, E. S. ほか(2015)
     「自閉スペクトラム症成人における自己報告による食物選択性に関する予備的研究」
     Journal of Autism and Developmental Disorders.
  2. Thomas, J. J. ほか(2017)
     「ARFID(回避・制限性食物摂取症)の最新知見」
     Current Psychiatry Reports.
  3. Barkley, R. A.(2024)
     『ADHDと自己制御の本質/ADHDのある人の職業的成果の予測』
     Springer.
  4. Nigg, J.(2017)
     『先回りするADHD(Getting Ahead of ADHD)』
     Guilford Press.
  5. Benton, D. & Donohoe, R. T.(1999)
     「栄養が感情に与える影響」
     Psychological Bulletin.
  6. American Psychiatric Association(2022)
     『精神障害の診断・統計マニュアル 第5版 追補版(DSM-5-TR)』
     American Psychiatric Publishing.

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