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同時進行がつらいときに ― 発達障害とマルチタスクの関係
はじめに
私たちの生活は、同時に複数のことをこなす「マルチタスク」を求められる場面が多くあります。たとえば、仕事でメールを確認しながら会議の準備をする、家庭で料理をしながら子どもの話を聞くなどです。
しかし、発達障害のある方にとって、この「マルチタスク」が大きな負担になることがあります。今回は、発達障害とマルチタスクの関係性について考えてみましょう。

マルチタスクが苦手になりやすい理由
1.注意の切り替えが難しい
ADHDやASDの特性がある方は、一つのことに集中しすぎたり、逆に注意が散りやすい傾向があります。そのため、「今はAの作業、次はBの作業」とスムーズに切り替えることが難しいのです。
2.ワーキングメモリの負担
複数のことを同時にこなすためには、頭の中で情報を一時的に保持しながら処理する必要があります。発達障害のある方は、このワーキングメモリの容量が少なめな場合があり、マルチタスクをするとすぐに情報があふれてしまいます。
3.感覚過敏との関連
同時進行でいろいろな刺激を処理することは、感覚に敏感な方にとって大きなストレスになります。例えば、周りの音に気を取られながら作業を並行するのは、とても疲れやすいのです。
マルチタスクに代わる工夫
「マルチタスクが苦手」ということは、「一つのことに集中できる」という強みでもあります。その特性を活かすための工夫を紹介します。
1.タスクを分ける(シングルタスク化)
一度にやることを一つに絞り、終わったら次へ移るようにします。チェックリストを作ると進み具合も見えやすくなります。
2.時間で区切る
例えば、「10分だけメールを確認する」「次の20分は資料作成に集中する」といった具合に、作業時間を区切ると切り替えがしやすくなります。
3.環境を整える
雑音や気が散るものを減らすことで、シングルタスクに集中しやすくなります。ノイズキャンセリングイヤホンや作業スペースの整理も効果的です。
4.デジタルツールの活用
リマインダーやタスク管理アプリを使うと、頭の中に抱え込まずに外に出せるため、ワーキングメモリの負担が軽くなります。

職場でのサポート方法
発達障害のある方が職場で力を発揮するためには、周囲の理解と環境調整がとても大切です。
1.仕事の優先順位を明確にする
「どの仕事を先にすべきか」を上司や同僚が具体的に伝えるだけで、混乱が大きく減ります。
2.一度に多くの支持を出さない
口頭で複数の依頼を同時に伝えると混乱しやすいため、メモやメールで整理して渡すと安心です。
3.集中できる環境を整える
必要に応じて静かなスペースを利用できるようにする、イヤホンを認めるなど、外部刺激を減らせる工夫が役立ちます。
4.業務を分解して任せる
「一気に全部」ではなく、「今日はこの部分まで」と小さく区切って依頼すると、達成感を積み重ねやすくなります。
5.フィードバックをこまめにおこなう
定期的に進捗を確認し、「ここまでできているよ」と伝えることで安心感が得られます。

おわりに
発達障害のある方にとって、マルチタスクは苦手な領域であることが少なくありません。ですが、それは「能力が低い」という意味ではなく、「やり方を工夫すれば力を発揮できる」ということでもあります。
職場では、マルチタスクを強要するのではなく、シングルタスクで力を発揮できる環境を整えることが、本人にとっても組織にとっても大きなプラスにつながります。

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